本研究は、「自動運転車の導入に伴い、どのような事故について刑事責任を問うことができ、どのような事故について刑事責任を問えなくなるのか。」を明らかにするため、様々なレベル・運行態様・事故態様の具体的事故事例を設定・分析し、理論的及び実務的観点から法的課題を整理した研究である。 理論上の問題として、過失犯判断において過小処罰及び過大処罰の双方の懸念が生じることを明らかにし、今後の対処として安全水準の法令等の重要性を指摘した。実務上の問題として、捜査公判が専門化・複雑化・国際化することを明らかにし、今後の対処として行政手続・刑事手続の連携及び個人処罰・法人処罰の在り方の見直しの必要性を指摘した。
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