贈与契約の拘束力については、ドイツとフランスでは公正証書の作成が有効要件とされているものの、一定の背景事情を持つ無償契約は「贈与契約ではない」と性質決定することで、方式を満たさない無償契約の拘束力を認めるのが裁判実務である。 これに対し、日本では、無償であれば直ちに贈与契約としつつも、「書面」ないし「履行」の概念を拡張することで、550条本文を回避している。そして、そうであるなら、この2つの概念の拡張の背景事情(=動因)を考究することは、学問的のみならず、実務的にも最重要課題のはずである。本研究プロジェクトでは、裁判例という具体的な素材を詳細に検討することで、この動因を究明した。
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