研究実績の概要 |
訴訟類型に応じた民事訴訟費用について研究するにあたり、2019年度は、日本の民事訴訟法の母法であるドイツ法に関する民事訴訟法の解説書、裁判所費用法等について資料収集を行った。訴訟費用に関連する訴訟手続の改正経過等の記載はあまりみられす、従来制度に関する原則等については大きな変化は起きていないと推定できる。訴訟費用の分野については実務的な問題であり、裁判実務等についての検証が必要になると考えられる。 日本における訴訟費用実務についての裁判例(主に決定)における原則等についての変遷について考察した。平成8年民事訴訟法改正で行われた、費用額確定手続の裁判所書記官への職務移譲が行われたが、裁判所書記官が計算業務を中心として実体法上の判断は訴訟費用負担の裁判において裁判官に残されていることとの関係から、平成8年改正後には書記官も参照可能な判断基準の役割が必要で重要であることについて考察を行った。研究成果論文として、金子宏直「民事訴訟費用の裁判と費用額確定処分」現代民事手続法の課題(春日偉知郎先生古稀祝賀)pp.293-313(信山社2019年)を公表した。 また、キャッスレス化の進展により消費者破産の増加に対応する紛争解決の法制度に関する検討として、国際学会に参加し、Hironao Kaneko, Resent Consumer Finance and Bankruptcy in Japan, LSA 2019, D.C. (U.S.), May 31, 2019ならびにHironao Kaneko,Promotion of Cashless Transaction and Consumer Bankruptcy in Japan, ALSA 2019 Osaka Univ. Dec.12-15, 2019で報告ならびに報告セッションの進行を行った。
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