研究課題/領域番号 |
19K01375
|
研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
遠藤 隆幸 東北学院大学, 法学部, 教授 (60387462)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 未成年後見法 / ドイツ法 / 台湾法 / 里親 |
研究実績の概要 |
当該年度は、ドイツ後見法の改正動向を引き続き検討し、あわせて台湾未成年後見法の検討と運用実態の調査に着手した。台湾未成年後見法は、指定後見人がいない場合の法定順序が定められており、それは、順に同居の祖父母、同居の兄弟、別居の祖父母となっている。すなわち、未成年後見人の供給資源は、原則として親族が想定されており、この点に限っても、日本法と際立った相違をみせている。 このことを敷衍すると、以下の通りである。すなわち、わが国の未成年後見法制は、身上監護と財産管理についての包括的権限を未成年後見人に付与し、親権の延長としての性格を有しつつも、未成年後見人のなり手について、特に指定をしておらず、広く専門職後見人にも門戸を開いている。そして2011年の民法改正において複数後見・法人後見が未成年後見においても認められたことで、未成年後見人と血縁共同体の結びつきはさらに弱められたということができる。これに対し、台湾法においては血縁共同体と未成年後見人との結びつきは規定に根差した強固なものである。加えて、1999年に起こった台湾921大震災において、震災孤児の未成年後見人には祖父母が就任し、一方で養育はおじ・おばが担うという現象が広く見られた。このことは、実態としても上述の紐帯が機能している証左とみることができるであろう。 このような現象について実態及び原因を確かめるべく、児童福利連盟におけるヒアリング調査を予定していたところであるが、コロナ禍の折、当該年度での実施は断念した。その代わりとして、台湾家事法學會において、2011年東日本大震災における里親制度の運用に関するオンライン報告を行い、それに続く討論において、上述の内容について意見交換をする機会を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
昨年に引き続きコロナ禍の影響で、予定していた台湾実態調査が全く実施できなかったため。
|
今後の研究の推進方策 |
実態調査の可能性を引き続き探ることと並行して、リモートによるヒアリング実施の可能性を検討することにしたい。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍の影響により、調査活動が全くできず、結果として今年度使用すべき旅費がすべて繰り越しとなった。感染状況次第ではあるが、次年度に当該調査を実施し、旅費を使用する予定である。
|