危険負担に基づく瑕疵担保責任は、所有権の移転に伴い危険が移転する、という所有者責任主義に依拠していた。しかし、債権法改正によって、売買の目的が特定物であるか不特定物であるかを問わず、危険は目的物の引渡しによって売主から買主に移転すると規定された(567条1項)。なぜなら、危険は目的物を事実上支配し、それを回避することができる者が負担すべきだからである。しかし、これに対しては、特に不特定物の売買について、引渡しではなく目的の特定によって危険が移転する(401条2項)、とのドイツ法的理解が対立することを明らかにした。今後は、この矛盾点と共に、売買契約における双務性と有償性の異同が課題となる。
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