債務名義を基礎として金銭執行を行うには、債権者が債務者の財産状況等について一定の情報を取得していることが前提となっている。しかし、これまで、この点についての制度的手当ては必ずしも十分ではなかった。本研究は、近時の民事執行法の改正により、新たな債務者の財産情報を取得するため制度が導入された現状において、民事執行の申立てにおける債権の特定の程度、債務者による財産開示制度、第三者からの情報取得制度および弁護士会照会制度等の関連する現行法下の諸制度を整理・分析し、その課題と相互関係等を示すものである。この問題をめぐる現状理解を容易にし、今後の運用指針を示唆する点で学術的・社会的意義があると思われる。
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