消費者の財産的被害の集団的回復手続につき、民間消費者団体と併存して行政庁の原告適格を認める場合、公私共働による訴訟追行を行うか、それとも広報など事件外での協力にとどめるかは、行政庁が構造的弱者を代弁し民事紛争に介入することへの国民意識の許容度や、民間消費者団体の活動力等を踏まえた考慮を必要とする。 裁判外紛争解決手続の中でも、仲裁は当事者の仲裁合意に基づくものであり、仮に集団訴訟のように当事者適格や判断効の特則を設けるとすれば、裁判を受ける権利との牴触が生じる。これを理論的に克服することは容易ではないが、個別仲裁手続の特殊な併合形態としての集団的仲裁手続は、あり得る一つの制度設計と思われる。
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