本研究は、複数の債権者が可分債権を有する場合、原則として当然に分割帰属するという判例が、多くの例外を認めることによって原則ではなくなっていること、さらに、そもそも十分な理論的正当化根拠を有していなかったことを明らかにした。従来、例外についての検討はなされてきたものの、判例の原則そのものへの検討は十分ではなかったところであり、この点に大きな学術的意義がある。また、判例が採用する当然分割原則が放棄されることになれば、共同相続の場面において、共同相続人間の不公平な取り扱いが是正されることになり、社会的意義も大きい。
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