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2019 年度 実施状況報告書

子ども養育紛争における当事者支援システムの再構築に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K01405
研究機関早稲田大学

研究代表者

棚村 政行  早稲田大学, 法学学術院, 教授 (40171821)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2022-03-31
キーワード養育支援 / 面会交流 / 養育費 / 子の監護 / 協議離婚 / 共同親責任 / 親権 / 子ども養育
研究実績の概要

2019年5月16日JICAにおいて、中国民法典婚姻家庭篇の訪日セミナーが実施され、研究代表者は講師として、日本における離婚後の親権・監護法制について解説するとともに、中国での親権・監護法制における法典化の課題等について意見交換した。2019年8月6日、慈恵医大国領キャンパスで開催された日本社会医学会学術大会において、研究代表者は「子どもの貧困と家族の支援」というテーマで基調講演をした。2019年10月11日、兵庫県明石市での養育費検討会があり、自治体として初めて養育費支払い確保のための取り組みを開始した。2019年11月10日、早稲田大学8号館3階会議室において、イギリスの面会交流支援全国協議会のエリザベス・コ―会長の基調講演、大阪工業大学高田恭子准教授、二宮周平立命館大学教授による「子どものための面会交流支援」のシンポジウムを開催した。2019年12月19日、早稲田大学8号館3階会議室において、オーストラリアのエサ―・エアリングFlinders大学講師を招いて「オーストラリアにおける共同養育法の展開」という講演会を開催した。2020年1月30日、研究代表者は、森雅子法務大臣が主催する養育費に関する勉強会において、「諸外国における養育費政策と養育費履行確保に関する取り組み」について報告をするとともに、今後の日本における養育費履行確保策について提案をした。2020年3月7日、早稲田大学8号館3階会議室において、養育支援制度研究会では、「今後の面会交流支援のあり方を考える」というテーマでのシンポジウムを開催した。2020年3月24日、研究代表者は、自由民主党司法制度調査会に招かれて、「離婚と子ども」と題して、離婚後の共同親権、面会交流、養育費についての今後の課題と方向性について講演をした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2019年度は、全国に先駆けて2014年4月からこども養育支援ネットワークの取り組みをはじめた兵庫県明石市での子ども養育支援ネットワークの取り組みや効果について、ヒヤリング調査を実施した。また、養育費についても、2019年9月に、明石市は、養育費不払いを許さないという目標の下に、これまでも実施てきた養育費取り決め支援、差押え等の強制執行支援、給与の天引き、市独自の公的立替払い制度の創設、支払いの督促と勧告、氏名公表や罰則など相談支援体制の充実と実効的な履行確保制度の構築のための条例案の策定のため養育費検討会を設置し、同年10月11日に第1回検討委を開催し、研究代表者が座長を務めることになった。また、2020年1月から法務大臣の主催する養育費勉強会において、養育費の合意形成支援、合意実現支援ということで、フィンランド、スウェーデンなどの北欧諸国の実情調査、韓国の養育費履行管理院の調査などともに、明石市、保証協会サービサー、しんぐるまざあず・ふぉらむなどの当事者団体、FPIC、養育費相談支援センター、法テラスなどのヒヤリング調査を実施し、2020年5月には報告書の取りまとめと公表を予定している。なお、研究代表者は、養育費勉強会の主力メンバーである。また、法務省は、面会交流支援についても、より実効的な施策を打ち出すために、研究代表者を含めて、効果的な支援策のとりまとめに入った。本研究の成果や提言は、国の法整備や制度化、支援の充実化に着実につながっている。

今後の研究の推進方策

2020年度は、当初、最高裁家庭局の協力を得て、東京家庭裁判所、大阪家庭裁判所、京都家庭裁判所などの家庭裁判所における面会交流や養育費に関する親ガイダンスの取り組みの実情やその効果、課題についてヒヤリング調査を実施する予定であった。また、アメリカ、オーストラリア、韓国、香港、台湾、シンガポールなどのアジア・太平洋地域の諸国での子ども養育紛争での当事者支援ネットワークの形成の実情と課題について、現地でのヒヤリング調査を実施する予定であった。しかしながら、新型コロナウィルスの世界的な感染拡大、各国での緊急事態宣言とロック・ダウンなどの影響で、日本における家庭裁判所のヒヤリング調査や海外での先進的取組の調査については、予定を変更せざるを得ない事態になった。そこで、できるかぎり、自宅でもできる文献・資料調査やオンラインやWeb会議などの非対面型の調査に切り替えるつもりである。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルスの感染拡大・緊急事態宣言などで、大学への施設の立ち入りや研究会等が中止となり、予算残額の処理が十分にできなかった。翌年度に回して有効に活用したいと思う。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2020 2019

すべて 雑誌論文 (8件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 子どもの貧困と家族への支援2020

    • 著者名/発表者名
      棚村政行
    • 雑誌名

      社会医学研究

      巻: 37 ページ: 71-79

  • [雑誌論文] 離婚と子どもをめぐる議論2020

    • 著者名/発表者名
      棚村政行
    • 雑誌名

      離婚と面会交流

      巻: 1 ページ: 3-29

  • [雑誌論文] 子どもの貧困と家族への支援2019

    • 著者名/発表者名
      棚村政行
    • 雑誌名

      子どもの心とからだ

      巻: 27 ページ: 422-425

  • [雑誌論文] 子ども養育支援基本法の制定を目指して2019

    • 著者名/発表者名
      棚村政行
    • 雑誌名

      法の支配

      巻: 193 ページ: 79-97

  • [雑誌論文] ハーグ子奪取条約の運用状況と今後の課題―研究者の立場から2019

    • 著者名/発表者名
      棚村政行
    • 雑誌名

      家庭の法と裁判

      巻: 20 ページ: 25-33

  • [雑誌論文] 特別養子制度に関する民法等の改正2019

    • 著者名/発表者名
      棚村政行
    • 雑誌名

      月報司法書士

      巻: 570 ページ: 11-17

  • [雑誌論文] 家事事件における法律と制度2019

    • 著者名/発表者名
      棚村政行
    • 雑誌名

      公認臨床心理師の基礎と実践19司法・犯罪心理学

      巻: 19 ページ: 163-177

  • [雑誌論文] 家族法とジェンダー2019

    • 著者名/発表者名
      棚村政行
    • 雑誌名

      尊厳ある社会の実現に向けた法の貢献

      巻: 1 ページ: 523-550

  • [学会発表] 子どもの貧困と家族への支援2019

    • 著者名/発表者名
      棚村政行
    • 学会等名
      日本社会医学会
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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