本研究は、証券市場における虚偽の情報開示に対し、どのような形の民事責任制度を構築・運用していくことが、虚偽の不実開示の効果的な抑止やそれが行われた場合の投資家へ救済に繋がるかということを検討するものである。現時点において、本研究では、証券クラスアクションが盛んに提起されているアメリカにおいても、そうした訴訟における和解金額の低さや和解プロセスへ煩雑さのため、現実には投資家がほとんど金銭的な救済を受けられていない実態があることを確認し、抑止効果についても、今後の制度運用や改革に活かしていけるほど、明確かつ定量的にそれを示すことに困難さがあることを確認した。
|