研究課題
2021年度は、①吉垣実「文書提出命令における自己利用文書該当性の判断について-「特段の事情」の意味、イン・カメラ手続の検討を中心にして」丸山秀平先生古稀記念論文集・商事立法における近時の発展と展望(中央経済社、2021年)651頁~675頁、②吉垣実「株式会社の取締役の違法行為差止めの仮処分」TKCローライブラリー民事訴訟法No:134を発表した(2022年3月)。①は、特段の事情の判断の在り方について、裁判例を分析し、私見を述べた。②は、株式会社の取締役の違法行為差止めの仮処分について、被保全権利と保全の必要性の要件の審理をどのように行うべきかについて、私見を述べた(違法行為差止めの仮処分における「当該株式会社に回復することができない損害が生ずるおそれがあるとき」という要件は、当該仮処分の判断の中核部分である。よって、当該仮処分においては、義務違反ないし違法性の明白性によって絞りをかけるのではなく、会社に「回復することができない損害が生ずるおそれ」の有無の判断を重視すべきである。について厳格な疎明を求める必要はないように思われる。「回復することができない損害が生ずるおそれ」の判断にあたっては、比較衡量が重要となるが、このことは違法行為差止の仮処分の場合に限られない。商事仮処分の事件類型においては、比較衡量が判断の中心となっている場合が多いが、近時の最高裁決定は、商事仮処分以外の事案においても比較衡量を重視した判断を示している。比較衡量は、被保全権利と保全の必要性の要件とは独立した要件とみる必要があろう。)。科研テーマと関連する仮処分についての論文も2本執筆し、現在、校正中である。2022年度中に公表される予定である。
2: おおむね順調に進展している
「文書提出命令における自己利用文書該当性の判断について-「特段の事情」の意味、イン・カメラ手続の検討を中心にして」丸山秀平先生古稀記念論文集・商事立法における近時の発展と展望(中央経済社、2021年)651頁~675頁、「株式会社の取締役の違法行為差止めの仮処分」TKCローライブラリー民事訴訟法No:134を発表した(2022年3月)。科研テーマと関連する仮処分についての論文も2本執筆し、現在、校正中である。2022年度中に公表される予定である。海外出張を行うことができず、国内出張も数回にとどまっているが、オンライン研究会などによって新たな情報を入手している。
コロナ感染の状況を睨みながら、海外出張および国内出張を行い、研究成果を得られるように努力したいと考えている。
出張ができなかったため。
すべて 2021
すべて 雑誌論文 (2件)
丸山秀平先生古稀記念論文集・商事立法における近時の発展と展望
巻: 丸山秀平先生古稀記念論文集・商事立法における近時の発展と展望 ページ: 651頁、675頁
TKCローライブラリー
巻: 民事訴訟法No134 ページ: 1頁、4頁