研究課題/領域番号 |
19K01408
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
吉垣 実 愛知大学, 法学部, 教授 (60340585)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 株主総会決議取消しの訴え / 形成の利益 / 対世効 / 遡及効 / 瑕疵の連鎖 / 小数株主 / 株主総会開催許可申立て / 株主による招集の決定 |
研究実績の概要 |
確定判決の効力を受ける第三者の救済方法との関係で、2つの論考、1つの研究会報告をおこなった。 ①「株主総会決議取消しの訴え(決議の瑕疵を争う訴え)」別冊ジュリストNo.265 (2003年8月)60頁以下において、形成の利益(必要)が事後的に失われる場合にかかる判例法理について論じた。最判昭和45年4月2日民集24巻4号223頁についての評釈であるが、最判令和2年9月3日民集74巻6号1557頁との関係についても論じた。最判昭和45年判決と最判令和2年判決の関係については、さまざまな見解が主張されている。最判令和2年判決は、いわゆる瑕疵の連鎖を理由とする後行の選挙の効力を争う訴えが併合されている場合において、先行する選挙の取消しを求めることに実益を認めるというものであろう。昭和45年判決の射程については今後の研究課題としたい。 ②「少数株株主による株主総会開催許可申立事件」法律のひろばVol 176 No7(2023年10月)106-113において、株主による招集の請求について規定した会社法297条を検討し、少数株主による総会開催と申立権の濫用とのバランスを考慮した解釈論の在り方を示した。①との関係で、瑕疵の連鎖を切断するための手段として、少数株主による総会開催の申立てがなされることの是非についても言及した。 ②については、関西民事訴訟法研究会(2023年9月30日:京都大学法学部で開催)で報告し、貴重なご教示をいただいた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
確定判決の効力を受ける第三者の救済方法について、実体法と手続法の交錯領域について、いくつかの論考を発表することができた。2024年度は総括的な論文を発表する予定であるが、その準備も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
研究テーマに関連する興味深い最高裁事例が出されており、ケースを研究しながら、論文を作成したいと考えている。2024年9月に研究会で報告する予定である(判例評釈も発表する予定である)。 比較法的研究のため、海外出張をする予定である(国際訴訟法学会への参加を予定している)。
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次年度使用額が生じた理由 |
特になし。
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