研究課題
令和3年(2021年)度には、前年度に引き続き、多数の研究成果を発表することができた。第1は、医薬イノベーションにおける特許法の役割と医薬品規制との協働に関する研究である。前年度に引き続いて研究を進め、日本の現在の制度の概要を整理し、問題点を総説する論文の公開をすることができた。同論文は、日本語と英語の双方で発表をしている。第2は、著作権法の制度設計に関する研究である。近時の技術の発展と著作権法の裁判例の展開の関係についての研究、著作権者に保護される利益の意義についての研究、近時の海賊版対策立法の意義についての研究を、前年度に引き続き実施した。また、新たに好適なアーカイブ構築における著作権法の意義についての研究にも取り組んだ。これらについては、論文の形で成果を公表することができた。第3は、近時のIoT技術の発展に伴う、IoT関連技術の特許保護に関する研究である。ビジネス方法に係る発明の特許性について、発明該当性及び進歩性要件について研究を行い、今年度において成果を公表することができた。更なる成果について次年度に公表の準備を進めている。第4は、新たなネットワーク上でのこれらの発明を利用したビジネスモデルの進展を踏まえて、IoT関連特許の権利行使にまつわる問題への研究を実施している。特許権侵害の損害額算定に関わる問題について研究を進めており、研究会での研究報告も実施した。近いうちに論文の公開ができる予定である。
2: おおむね順調に進展している
令和3年(2021年)は、引き続きコロナ禍のため、当初の通りの研究計画を実施することは難しい状況にある。幸い、オンラインによる他研究者との学術交流の体制を整えることができたため、ある程度、必要な体制は確保することができており、今後もそれは維持される見込みである。
既に着手した具体的な研究テーマが複数あるため、当面は、執筆中のそれらのテーマに関する論文の公表に注力しつつ、発展的なテーマについての研究を引き続き進める。
コロナ禍で出張ができなかったため、その分の経費に余裕が生じた。次年度以降の出張経費に充てるとともに、研究時間の更なる捻出のためのバイアウト経費に充てることを予定している。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うちオープンアクセス 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (3件)
高倉成男・木下昌彦・金子敏哉編『知的財産法制と憲法的価値』
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