最終年度となった本年度は、初年度と次年度で収集整理した農業センサスと神奈川県内森林・林業統計のデータをもとにデータサイエンス研究科大学院生に参加してもらい、私有林の減少傾向、私有林割合の変化などの可視化(グラフや表作成)を試みた。 また、厚木市、小田原市、茅ケ崎市の森林担当者などへのヒアリング調査(主に所有者不明林の現状とこれに対する市の対応についてと森林相続の現状と課題、その他、各自治体独自に有している森林に関するデータの有無など)結果と森林経営管理法や森林法などの国会(農林水産委員会など)での審議議事録なども参考に森林法(昭和26年)から森林営管理法(平成30年)成立までの林政について時代背景や経済状況も考慮した上で、現在の日本社会に森林の公益的機能(環境保全など)と経済的機能(林業の成長産業化など)を両立させる森林経営管理法の成立の意義を理解した。 本研究で、森林データの可視化は、数字での森林面積や私有林と国有林の割合の増減をより具体的に把握できた。所有者不明森林の維持や管理の問題は、森林経営管理法と改正登記法によって解決される方向性が確認できた。他方で今後、所有者不明森林が実際に減少しているか、所有者不明森林の経営管理の委託手続などについては、今後の動向を注視し問題点があれば法改正なども必要であると思われる。加えて、森林相続についての実態(当事者たちの現状と課題)調査の必要性も痛感した。
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