研究課題/領域番号 |
19K01430
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
河井 理穂子 東洋大学, 情報連携学部, 准教授 (10468548)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | EdTech / 子ども / 個人情報 / プライバシー |
研究実績の概要 |
日米欧の教育現場における教育データ保護に関する各種ガイドライン(例えば、情報教育セキュリティポリシーに関するガイドライン(文部科学省、令和4年3月一部改訂)、米国のFamily Educational Rights and Privacy Act (FERPA)に関する様々なガイドライン、Children's Data Protection in an Education Setting Guidelines(Consultative Committee Of The Convention For The Protection Of Individuals With Regard To Automatic Processing Of Personal Data Convention 108, 2020 Nov.)など)の比較検討を行った。教育データの取得、保持、利用についてその目的を明確にし、最小限の範囲に留める、保護者の同意が必要であるなどの事項は共通していた。米欧においては、教育データのコントローラーを明確にし、特に保護者が教育データについて確認、修正などを容易に要求できるようにすることが重視されている。また、米国においては、検索履歴、ログインデータ、検索ワードなどのデータを表す属性や関連する情報を記述したいわゆるメタ教育データのコントローラーが誰であるのか明確ではない、いわば責任者がいない状態が生まれる可能性があるという指摘もある。これは、子どもの教育データの利活用において、保護者の同意を得るタイミングに明確に伝えることが重要な要素であり、現行の法やガイドラインでは抜けている要素であることが明確となった。また、教育データ保護に関する法の執行については、特に米国のFERPAについて最近の動向を調査した。さらに、自身の子どもが学校等でICTを利用している際、どのような情報が取得され、その情報のコントローラが誰であるのか、どの程度把握できるのかなど、保護者向けのインタビュー調査項目についても検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、当初の予定では、EUの法執行状況の分析、法執行機関・教育機関へのインタビュー調査と分析であったが、COVID-19の影響により2020年度に引き続き海外への渡航が難しく、インタビュー調査を実施することができなかった。インタビュー調査項目の洗い出しなどは終えてインタビュー調査への準備は整ったものの、オンラインでのインタビュー実施までは至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響はありながらも、国内移動については可能な状態となりつつあるので、まずは国内の教育機関や保護者にインタビュー調査を開始する。そして、その成果を元に海外の有識者にオンラインでインタビュー調査などを行う予定である。本研究の最終的な成果として、インタビュー調査等を受けてくださった方たちをお招きして(オンラインの可能性もあり)、EdTechと子どもの個人情報・プライバシーに関する国際的な研究成果発表会を開催する予定であるので、そのためにもオンラインでの議論の機会を設ける予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた最大の理由は、COVID-19の影響により、欧州と米国への出張が不可能となり、現地調査が実施できなかったことである。今後は、海外在住の学生や知人の研究者に謝金を支払い、現地調査を行うことも検討する。
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