アメリカ大統領は様々な形式で行政組織に命令を下す。その総称は「大統領令」と呼ばれる。典型は、具体的な法律を明記して行政組織に法執行を命じる行政命令(executive order)だが、オバマ政権とトランプ政権では大統領覚書(presidential memorandum)が増加している。覚書では根拠法は示さなくともよいとされる。さらに覚書の中には、大統領に法律上の権限がないはずの事柄について命じるものもある。なぜ、どのようにアメリカ大統領は法律に依拠しない形で命令を下すのだろうか。そして、憲法上の抑制と均衡から逸脱するように見える大統領の行動に、他の部局はどのように対抗しうるのだろうか。これらの問いに答えるべく、2021年度は以下の3点に取り組んだ。 1)オバマ政権とトランプ政権における大統領覚書の運用方法についての研究 2)オバマ政権とトランプ政権による大統領覚書が行政組織の与える影響についての事例研究 3)オバマ政権とトランプ政権による大統領覚書に対する州政府が原告となる訴訟についての事例研究
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