アメリカの裁判官人事の研究では従来、大統領の指名を受けて議会上院がそれをどう承認するかに関心が集中しており、大統領側がどのような指名を行うかの分析は本格化して間もない状況にある。指名の分析も、大統領がどの裁判官ポストを優先するのかといった検討が中心で、裁判所が出す判決の内容に直接影響しうる、どんな人物が重視されるのかに関する研究は意外にも手薄である。本研究課題の分析は、大統領がどう権力拡大を目指すのかという、大統領研究について重要なテーマと関連づける形で新たな知見を示すという形でこの分野に貢献している。
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