研究課題/領域番号 |
19K01453
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
藤嶋 亮 國學院大學, 法学部, 教授 (70554583)
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研究分担者 |
武藤 祥 関西学院大学, 法学部, 教授 (40508363)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 第一次世界大戦 / 政治変動 / バルカン / イベリア / 権威主義体制 / ファシズム |
研究実績の概要 |
本年度も、依然として新型コロナウイルス感染症の拡大とその長期化により、予定していた現地での資料調査・収集を実施できなかったため、主として①分析枠組の精緻化と、②(国際)共同研究の組織化を進めた。 ①については、研究代表者(藤嶋)と研究分担者(武藤)が、二次文献の収集・アップデートを進め、それらを用いて戦間期欧州「周辺」における政治変動を分析するための枠組の整理を行った上で、(分担者が9月まで在外研究中であったこともあり)オンライン上での複数回の研究打ち合わせを実施した。打ち合わせでは、研究代表者により戦間期権威主義体制にかかわる「ファシズム化」概念の有効性、研究分担者により統治原理としての「コーポラティズム」の受容・普及について、重点的な検討が行われた。以上を踏まえ、分担者はイベリア半島を含めたヨーロッパ「周辺」における戦間期政治史の分析枠組に関する論文を公刊した。さらに、代表者は歴史的背景・含意を踏まえつつ今日の中・東欧諸国における「民主主義の後退」を検討した論文(図書・分担執筆)を公刊した。 ②については、分担者が2021年9月まで、マドリード・コンプルテンセ大学に籍を置き、戦間期のスペイン政治史、スペイン・ファシズムを比較の観点から分析する現地の研究者との共同研究体制の構築を精力的に進め、マドリードで2022年3月に開催された学会において報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の通り、本年度は分析枠組みの精緻化とその一部の公刊、また学会報告の準備を進めることができた。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の拡大とその長期化により、予定していた現地での資料調査の実施が1年間を通じて困難となったため、一次史料を用いたルーマニア・ブルガリア及びスペイン・ポルトガル各国政治史の実証研究を十分に進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
本報告書作成時点(2022年5月)において、新型コロナウィルス感染症の流行状況は改善に向かいつつあり、本年度は海外での資料調査の再開を見込むことができる。その場合は、代表者がルーマニアとブルガリア、分担者がスペインとポルトガルにおいて、資料調査を実施し事例分析のための史料を収集するとともに、現地での研究動向のアップデートを行いたい。さらに、以上の調査結果と、先行して進めてきた理論的検討とを接合させて研究成果の最終的取りまとめを行い、論文の公刊を目指したい。 また、本年6月の日本比較政治学会研究大会においてパネルを組織し、代表者・分担者の研究成果の中間報告を行う予定である。その際、他地域の政治史研究者や理論的視座からのフィードバックを得ることで、本研究計画での視座をバルカン半島・イベリア半島を超えて応用できるかどうかを検証したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の拡大とその長期化により、現地での資料調査計画の実施が極めて困難となったことが、次年度使用額が生じた主たる理由である。 2022年度は、ルーマニア・ブルガリア及びスペイン・ポルトガルでの資料調査の実施が可能となり次第、研究代表者と研究分担者が現地での資料調査・収集を集中的に行うことで、経費を計画的に使用していきたい。
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