研究課題/領域番号 |
19K01453
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研究機関 | 國學院大學 |
研究代表者 |
藤嶋 亮 國學院大學, 法学部, 教授 (70554583)
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研究分担者 |
武藤 祥 関西学院大学, 法学部, 教授 (40508363)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 第一次世界大戦 / 政治変動 / バルカン / イベリア / 権威主義体制 / ファシズム |
研究実績の概要 |
本年度は、まず6月の日本比較政治学会研究大会において「20世紀前半のヨーロッパ『周辺』における政治変動」と題したパネルを組織し、研究代表者・分担者の研究成果の中間報告を行った。このパネルでは、他地域の政治史研究者や理論的視座からの貴重なフィードバックを得て、本研究計画での視座がバルカン半島・イベリア半島を超えて応用できることが確認された。 さらに、本年度は新型コロナ感染症の流行状況がある程度改善に向かったことで、研究分担者は、2023年3月にマドリードで調査を行い、プリモ・デ・リベーラ独裁(1923-30年)に関する貴重な一次史料を渉猟することができた。また、2022年12月にポルトガル・リスボンで開催された国際セミナーにおいて、戦間期イベリア半島の権威主義体制に関する報告を行った。他方で、研究代表者は、家庭の事情もあり、新型コロナ感染症に細心の注意を払う必要があったため、ルーマニア・ブルガリアでの現地調査を行うことができなかった。したがって、今年度も二次文献の収集・アップデートと、戦間期権威主義体制にかかわる「ファシズム化」概念の有効性の検証を軸に分析枠組の精緻化を進めた。加えて、比較政治学のテキストの1節として、歴史的背景・含意を踏まえつつ、ルーマニアとブルガリアのクライエンテリズムに関する解説を執筆した。 なお、本年度も代表者と分担者は、対面及びオンライン上での複数回の研究打ち合わせを実施し、研究状況の確認や分析枠組みの精緻化、研究の発展の方向性などについて精力的な検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述の通り、本年度は学会パネルを組織し、有益なフィールドワークを得ることができた。研究代表者は、当該学会における報告論文の作成を通じ、本科研初年度に収集した一次史料を用いて、戦間期ルーマニア政治史の実証研究を進めることができた。分担者は、ポルトガルでの国際セミナーでの報告を通じ分析枠組みの精緻化を進めるとともに、スペインにおいて一次史料の収集を行い、それを用いた戦間期スペイン政治史の実証研究を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、新型コロナ感染症の流行状況の大幅な改善が見込まれるため、研究代表者がルーマニアとブルガリア、分担者がスペインとポルトガルにおいて、資料調査を実施し事例分析のための史料を収集するとともに、現地での研究動向のアップデートを行いたい。さらに、以上の調査結果と、先行して進めてきた理論的検討とを接合させて研究成果の最終的取りまとめを行い、まずは代表者・分担者ともに、2022年6月の比較政治学会研究大会における報告論文を加筆修正した上で、公刊を目指したい。 また、研究分担者は、2023年9月にスペイン・ログローニョで開催されるスペイン現代史学会(AHC)、同じく11月に開催されるスペイン史学会(日本)大会において、本研究計画の総括的な報告を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は新型コロナウイルス感染症の流行状況に改善が見られたものの、依然として現地での資料調査計画の実施に一定の制約が存在したこと、また3年間に及ぶ流行により、外国旅費の未使用が長期間継続したことの累積が、次年度使用額が生じた主たる理由である。 2023年度は、ルーマニア・ブルガリア及びスペイン・ポルトガルでの資料調査を計画通り行うことが可能となり次第、研究代表者と研究分担者が現地での資料調査・収集を集中的に行うことで、経費を計画的に使用していきたい。
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