研究課題/領域番号 |
19K01465
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
白川 俊介 関西学院大学, 総合政策学部, 准教授 (50737690)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リベラリズム / 移民正義論 / 国境管理 / 自決 / 世代間正義 / 感情 |
研究実績の概要 |
本年は、以下の2件の研究会報告を行った。1)白川俊介「リベラリズムと「非合理的なるもの」──世代間正義を手がかりに──」西方政治理論研究会(於:オンライン)、2023年1月8日では、ある意味でのリベラリズム批判として、理性中心的なリベラリズムは、「感情」や「愛着」といった「非合理的なもの」をうまく議論の俎上に乗せることができてこなかったのではないか、という点について、「世代間正義論」を題材にして、近年のサミュエル・シェフラーの論考を補助線にしつつ、1つの試論を提示することを試みた。 2)白川俊介「領土的一体性と国境管理──自決理念の検討を手がかりに──」、「移民の政治理論」(於:立命館大学いばらきキャンパス)、2023年3月9日では、領土権の一要素である国境管理あるいは入国管理の正当化根拠について、しばしばその有力な正当化根拠とされる「ネイションの自己決定」について、実のところそれだけでは直ちにネイションの国境管理を正当化できないとして、その「外的な」正当化根拠のあり方について探究した。
また、より一般向けの論説として「ナショナリズム再考」というタイトルで、『表現者クライテリオン』誌上で、隔月で論考を執筆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナの影響により、研究代表者の研究以外での業務負担が増えたことが大きな理由である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、これまでに考察してきたことをまとめる作業に入る。移住のグローバルな正義論について、グローバルな正義論のあり方そのものの批判的な検討をとおして、新たな視座を提供し、その視座に基づいて、近年グローバルな正義における喫緊の課題であると思われる気候変動および健康格差の問題を念頭に置きながら、そうした問題に対する処方箋を提示できるように努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの影響で、予定していた海外での学会報告等が実施できなかったため。 今年度は、これまでの研究成果をまとめて発表するために、学会や研究会における出張旅費として100千円を予定し、残りについては基本的に必要な書籍の購入のために使用するつもりである。
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