研究課題/領域番号 |
19K01467
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
佐々田 博教 北海道大学, メディア・コミュニケーション研究院, 教授 (90551101)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 農業政策 / 制度発展 / 政策過程 |
研究実績の概要 |
初年度となる令和元年度中は、主に終戦直後の農業政策と農業制度の形成に関する資料の収集と資料分析を行った。具体的には農地改革や農協法の制定にあたって政策決定に関連したアクター(GHQ・農林官僚・政治家・農業団体)の政策理念や選好を詳細に検証し、各アクターがどのような力関係にあり、どのような農政を志向していたのかといった点について分析を進めた。これらに関する主要な二次資料については概ねリストアップし、かなりの部分を読み込んでいる。今後は一次資料についても収集を進めていく予定である。また1960年代の農業白書などといった農林省の資料を検証し、農業基本法制定後の農政についても分析を行った。さらに農林水産省の現役職員に対するインタビューを行い、現在の農水官僚が農政の発展過程についてどのように理解しているかといった点や、政官関係についての見解などに関して情報を収集した。また、2020年8月にベルギーで行われる予定であったEuropean Association for Japanese Studies(欧州日本研究学会)に、本研究に関連した研究報告を申請していたが、無事に採択された(その後、同学会は1年延期が決定された)。同学会は、ヨーロッパを中心とした国際学会で日本研究学会としては世界最大級のものであり、同学会のパネルに採択されたことは、本研究のテーマに一定の評価と関心が与えられた証左であると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の当初の予定通り、初年度は二次資料の収集とその分析を中心に作業を進めた。その結果、必要となる資料の種類やその所在について大まかに把握することができ、さらにその一部を入手して読み進めることができた。こうした資料収集・分析の進捗については概ね想定通りのペースであると考える。農水官僚へのインタビューについても、予定通り行うことができ、興味深い情報を入手することができた。しかし、コロナウイルスの感染拡大によって、当初予定していた2020年3月の研究会での研究報告を行うことができなかった。そして研究報告を行う予定であったEuropean Association for Japanese Studies(欧州日本研究学会 於ベルギー)は、1年延期が決定されたため、第2年度に行うことができなくなってしまった。国内の学会についても延期・中止が想定されるため、研究報告の面では多少の遅れが出ると思われる。また農林水産省や農協などで予定していたインタビューについても、第2年度は行うことが困難であると考えられる。こうした作業については、第3年度にまとめて行わざるをえないだろう。
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今後の研究の推進方策 |
第2年度は引き続き資料収集・分析を中心に作業を進めていくが、主に1950年代の資料を扱う予定である。またすでに収集した終戦直後の資料については、資料分析を進めていく。コロナウイルスの影響によって、出張を伴う活動(学会参加やインタビューなど)については、第3年度に延期せざるを得ない。感染予防を最優先として、極力移動を控え、対面での面談は避けることを心がける。対案としてはZoomなどのアプリを活用した、オンライン・インタビューを利用することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年3月に予定していた出張が、コロナウイルス感染拡大の影響によって中止となったため、出張のための予算に充てていた額が余ってしまった。使用計画としては、次年度末に再度出張を行う際に使用することを考えている。
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