本研究は、社会基盤事業に伴う用地取得・住民移転の過程を、事業の受容と移転後の生活再建を目指す行政と市民とのco-productionの過程と捉えようとするものである。鍵概念であるco-productionの観点からは、住民の負担に対する理解がどのように形成され、スリランカの道路事業・用地取得過程でどのような影響を及ぼすのかについて、当該過程を模した行動実験や、同国の市民に対するオンライン調査を組み合わせて検討を試みた。実験の結果、社会的意思決定の形式によって人々の事業規模や補償への反応は異なること、経済的再配分の誘因は現実の用地取得・住民移転の文脈で重要であると認識されていることが確認された。
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