本科研最終年度の2021年度には、「係長試験」、すなわち日本の地方自治体における幹部登用にかかわる過去2年度の研究の結果を、国際学会で報告することを想定していた。ところが、報告を予定していたAAPA(Asian Association for Public Administration)の日程が複数回にわたって変更・延期になった上に、各国行政におけるCOVID-19対応の研究を中心に行うことになったために、報告の機会を逸してしまった(報告できないことが判明した時には国内外の主要学会の報告受付期間は終了しており、他の学会での報告のチャンスがなかった)。発表を考えていた研究成果は、今後国際学会あるいは国内学会における報告あるいは論文等の形で公表する予定である。 他方、本研究開始時には考えていなかった、以下のような論点が、本科研の研究にはかかわっていることが判明した。まず第一は、幹部職員選抜が、女性公務員の出世とそれにともなって、公務員の「ワーク・ライフ」バランスをどうとるかという論点。 第二は、また女性に限らずさまざまな人を公務員として雇用し幹部に登用することが行政のダイバーシティを確保するうえで重要であるという論点。 さらに、これらにかかわるジェンダー研究でも、試験と人事選考のどちらがダイバーシティ確保の観点から議論があることが、関係者や学識経験者へのヒアリング等で判明した。今後は、この点にも留意して研究を進めたいと考える。
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