研究課題
基盤研究(C)
本研究は、日本の地方自治体における幹部職員選抜制度の実態(いわゆる「係長試験」の有無やその内容)が、地方自治体の政策にどのような影響を与えているかを知ることを目的とした。そのために、都道府県と政令指定都市における「係長試験」の有無・内容について、アンケート調査を行い、また係長試験が近年廃止された自治体や実施されたことのない自治体について、関係者への聞き取り調査などを行った。その結果、優れた(将来の)幹部職員を早期に選抜するという係長試験の意味が近年大幅に変化したことが確認できた。
政治学
女性公務員の増加・家族を構成するメンバーの役割分担の変化・仕事をめぐる価値観の変化や介護や育児をめぐる意識の変化など、社会経済的な変化によって、近年、「係長試験」の意義が低下した可能性があることが確認できた。このことは、日本の地方自治体が(将来の)幹部職員を試験以外の方法で選抜する必要があること、あるいは、幹部職員に対する教育を長時間勤務を伴う自治体内の中枢機関におけるOJT以外でも行う必要があることを示している。