研究課題/領域番号 |
19K01472
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研究機関 | 駒澤大学 |
研究代表者 |
梅田 道生 駒澤大学, グローバル・メディア・スタディーズ学部, 准教授 (80735324)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 民主的代表 / Dyadic Represenation / 投票行動 |
研究実績の概要 |
2019年度には,主に研究実施計画中の1〕選挙区の各種特性と主要政党候補の政策や有権者動員戦略の関係についての研究を進めた。特に以前からの研究成果と合わせ,選挙区の産業構造,特に労働人口に占める農林水産業や建設業への従事者の割合が,2000年代に自民・民主二大政党候補の経済問題(特に都市と農村を巡る争点)における政策位置に対し,所属政党と並んで大きな影響を与えていたことを示した。また候補者が選挙区の特性に合わせた政策位置を選択することにより,より多くの得票を獲得していることも明らかにした。同年度中にこの結果を示した論文の原稿を完成させ,海外研究雑誌への投稿を行い,査読者のコメントを受けて論文の改訂を行っている。 さらに上記論文の分析作業を通じて,選挙区ごとの候補者および有権者の特性についてのデータセット編集作業が進展したため,それ以外の分析を進めている。例えば,論点が拡散しかねないために上記の論文には含めなかったものの,選挙区における製造業関連の業種への従事者の割合と候補者の政策位置の関係についての分析を実施し,また選挙区の特性と投票率等についての分析も進めた。これから先行研究での議論とは異なり,今日の日本では選挙区の特性(例えば先述の農林水産業や建設業への従事者の割合)と投票率の関係は決して強くないこと,それよりは有力候補間の接戦度等の選挙戦の状況のほうが大きな影響を与えていることを発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度は転職や転居が重なり,新たに担当することになった授業の準備等もあり,特に前半においては研究に割く時間がやや不足した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は「研究実績の概要」の前半で示した投稿中の論文を出版し,また後者での研究の成果を論文としてまとめて投稿していくことを目指す。またこれと並んで,当科研費申請時の「研究実施計画」で示したうち,2019年度には着手できなかった「選挙区レベルでの選挙間の得票変化の原因」についての分析および論文執筆を行っていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
先述の通り,2019年度は転職により当初予定していたよりも研究に時間を割くことができなかった。2020年度も新型コロナの影響で学会参加等ができず,旅費が余ることが予想されるが,有効に活用して研究を進めたいと考えている。
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