研究課題
基盤研究(C)
本研究においては、「王権」と「君主政」の観点から、「長い17世紀」におけるイギリス政治思想史の見直しが試みられた。なかでも、ジェイムズ6世・1世から、その息子のヘンリとチャールズ(のちの1世)、そしてチャールズ2世へと続く君主論と統治論の展開の一端が明らかとなった。その成果はとくに、単著『想像と歴史のポリティクス』(風行社、2020年)や、論文「王権と君主の「ルネサンス」―ヘンリ・ステュアートと統治のアート」(『法政研究』第88巻第2号、2021年)などに反映されている。
西洋政治思想史
17世紀のイギリスはこれまで、ピューリタン革命や名誉革命などを通じて近代的な政治思想が形成された時代とみられてきた。本研究の学術的・社会的な意義は、王権や君主政の重要性と持続性に着目し、デモクラシーや自由主義、立憲主義や共和主義、あるいは近代国家の発展とは異なる、「ステュアート王朝」における統治の実践を可能にした「君主主義」の政治学や「ブリテン」の君主論の思想史的な意義を明らかにしたことにある。