本研究の学術的意義は,これまでの選挙の空間理論の新しい枠組みに変換したことである.従来の選挙の空間理論は,ユークリッド空間において政策空間を設定し,政党と有権者の距離を基にモデルを作成した. このモデルは,政党間競争,有権者の投票行動をフォーマルモデルとして考察する上で,より柔軟なモデル構築を可能にした. 本研究の意義は,コールマンの「行為の線型システム」を援用して,自由市場において投票と政策の交換を基礎とするモデルを構築したことにある.モデルから得られた「棄権の増加は選挙おいて政権与党を優位にする」という知見から考えると,本研究の社会的意義は有権者の投票行動の脆弱性を明らかにしたことである.
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