本研究の目的は、ケアの倫理・ケアのデモクラシー理論によって近現代政治理論における「主体性」概念を再検討して、新たな政治主体や政治実践のあり方を考察することにある。 本研究では、最初にケアの倫理と市民社会論について調査した上で、ケアのデモクラシー理論について考察を行った。次いで、ケアの倫理において課題とされてきたケアと正義の関係に関する研究を行った。その結果、脆弱な存在としての人間を理解することによって、これらを結ぶことが可能であるという知見が得られた。そして、ケアのデモクラシーを実現するものとして、市民の協働(association)の可能性に注目するに至った。
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