研究課題/領域番号 |
19K01488
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
山田 竜作 創価大学, 国際教養学部, 教授 (30285580)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | カール・マンハイム / 自由のための計画 / ムート / A. D. リンゼイ |
研究実績の概要 |
本研究の第1年目として、もっとも基本的な一次資料の入手をするべく、英国キール大学図書館所蔵のカール・マンハイム文書(Karl Mannheim Papers)とA. D. リンゼイ文書(A. D. Lindsay Papers)を閲覧し、資料収集を行なった。過去の研究ですでに入手済みの資料もあり、またマンハイムとリンゼイとの直接的関係を示す資料を多く見出すことはできなかったが、最低限必要と思われる英国期マンハイムの眠れる一次資料の掘り起こしをすることはできた。
また、本研究に直接的に関係する重要な文献、Jonas Kurlberg著 Christian Modernism in an Age of Totalitarianism: T. S. Eliot, Karl Mannheim and the Moot (London: Bloomsbury, 2019) が刊行された。この文献を熟読すると同時に、英国ダラム大学に所属する著者 Kurlberg 氏とコンタクトすることができ、今後の研究に向けての協力者を得ることができた。
さらに、英国期マンハイムの思想の現代的意義をめぐって世界政治学会(IPSA)に研究発表の申し込みをしたところ、採択された。「自由のための計画」論と、それに密接に関係する教育論は、過剰な価値相対主義を退けつつ価値多元主義に資する優れて現代的な議論を内包していた、という趣旨の研究発表を準備することとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの影響により年度末の学内行政が繁多を極めたこともあり、2019年度の研究については資料収集だけでほぼ終わってしまった。また、収集した資料の整理を行う中で、まだ入手できていない一次資料がまだ多く存在することも見えてきている。
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今後の研究の推進方策 |
比較的最近入手した先行研究を手掛かりに、論点を整理した上で、まずはすでに収集できている一次資料の解読に着手する。マンハイムが参加したキリスト教知識人グループ「ムート」で語られた論点が多岐にわたるため、まずはマンハイムの論争相手となった T. S. エリオットとの関係に焦点を絞り、レッセ・フェール自由主義の問題性、文化の退廃、エリートと階級、社会再建における宗教の位置、等についての両者の思想の異同を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費は主に書籍代であるが、予算をオーバーしないよう意識しつつ書籍購入をしたため、結果的に712円という小額が残ってしまった。次年度に繰り入れて、書籍購入あるいは英文校閲の費用の一部として使用予定である。
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