研究課題/領域番号 |
19K01489
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研究機関 | 京都女子大学 |
研究代表者 |
城戸 英樹 京都女子大学, 現代社会学部, 准教授 (30582358)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | カナダ政治 / 政府間関係 / 政党組織 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中央政府レベルの政党が地方政府レベルでどのような要因から組織形成を行っているのかを解明することである。先進民主主義国家において、中央政党は地方との政治的リンクを確保するために、地方政府レベルでも政党組織を整備し、地方政府の政権獲得競争に参加してきた。しかし、カナダでは政党組織が中央と地方で分断され、連邦政党は州政府とは政党を通じたつながりを持たない。本研究では、このカナダを事例として、中央政党が地方政府を構成する政党とは別に地方で連邦政党組織を形成している理由を明らかにする。 2019年度には、先行研究の検討から研究全体の枠組みを構築することが最大の目標であった。そのため、夏季休暇にカナダ・トロントに赴き、トロント大学図書館で先行研究の収集を行った。また、トロント大学のRodney Haddow教授と面談し、研究構想に対するコメントを受けた。さらに、研究に必要な連邦議員の前歴データの収集を開始し、初期成果につながるデータを整備することができた。これらの成果に加えて、海外学会において比較政治学の研究動向を把握するために、6月にはカナダ政治学会、9月にはヨーロッパ政治研究学会(ECPR)にそれぞれ参加し研究状況の把握に努めたうえで、研究成果の一部を報告することができた。 以上の進展を踏まえて、これまでの研究の進捗を公表すべく、2020年度に開催予定の海外学会への報告応募を行い、カナダ政治学会、世界政治学会での報告が採択された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた先行研究調査と専門家へのヒアリングを順調に消化することができた。また、初期成果について研究をまとめる作業に着手し、海外学会での報告を行うことでフィードバックを受けた。これに加えて、翌年度に初期成果を完成させるための海外学会での研究報告応募にこぎつけることができた。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度は初期成果について複数の海外学会での研究報告を予定していた。しかし、報告申請が採択されたカナダ政治学会、世界政治学会がコロナウイルス問題を受けて、それぞれ中止、延期になったため、対応策を検討する必要がある。具体的には、年度後半に開催される学会への応募を検討する。現在の状況を踏まえるとこれらの学会も延期もしくは中止になる可能性が高いため、初期成果の海外学会報告を2021年度に延期し、より内容を洗練したものにすることを想定して研究を進める。 また、コロナウイルスのために海外での資料収集やヒアリングが困難になることが予想されるために、国内やオンラインで対応可能な資料収集や先行研究の整理を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外調査と海外学会報告のために前倒し請求を行ったが、航空券運賃が想定していたよりも安価になったこと、海外での滞在日数が短くなったために、旅費が節約できた。また、英文校正について、よりリーズナブルな価格設定のサービスが新たに提供されたため、その他の費用を抑えることができた。これらの理由から次年度使用額が発生した。 次年度は、研究が順調に進捗していることから複数の海外学会報告を予定しており、繰越額と翌年度助成金を合わせて、これらの学会報告出張を実施する予定である。また、必要に応じてカナダでの資料収集を行う費用も賄うことを予定している。さらに、PCの更新時期が来ているため、物品費で相当額を使用することが予想される。
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