2023年3月24日に、一橋大学経済研究所ロシア研究センター・経済制度研究センター・共同利用共同研究拠点共催コンファレンス「世界転換期における新興市場」において、「フルシチョフ期ソ連における割賦販売の開始」と題する報告を行った。同報告は、計画経済を採用したソ連において割賦販売制度が導入されたことの意味、制度化の特徴などについて論じた。計画経済は経済的自由を高度に制約するが、政府は、購買力および消費の自由を高めるという意味で資本主義国と同様の意義を持つ割賦販売制度を、生活水準向上を正当化要因として導入し、この際、必要な信用を最終的にすべて国家に帰着するよう制度を設計したことが明らかとなった。本報告は、本科研のテーマを発展させた研究目標を持つ科学研究費補助金基盤(C)「社会主義における経済活動の自由の政治的意味」(課題番号22K01328)の成果でもある。 また、本科研におけるソ連史研究をベースとして、現在進行中のロシアによるウクライナ侵攻についてインタビューを実施して論攷を執筆し、また研究報告・講演も行った。インタビュー、論攷、研究報告は、NIRA総合研究開発機構のプロジェクト「ロシアのウクライナ侵攻」の一環として2022年3月からおよそ一年にわたって行われ、河本の編纂で研究報告書がNIRAウェブサイトに掲載済みであり、おって出版もされる。講演は日本総研からの依頼により2022年8月5日に行ったもので、ロシアをどのように捉えるか、本科研の研究も踏まえて論じた。
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