本研究は、1965年の請求権協定、90年代の河野談話やアジア女性基金、2015年の「慰安婦」合意など歴史問題に関する日韓交渉時に、双方の政策決定者が安保協力との争点連関や共通の同盟国である米国からの期待、国内世論による受容可能性をどのように認識していたのかを明らかにするものである。 期間延長の5年目であり、最終年度にあたる今年度は、成果をさまざまなかたちにまとめて、広く社会に還元するのが目的である。 成果は次のとおりである。第1に、今年度中の刊行には間に合わなかったが、以下の3本の論考(浅羽祐樹「「ことば」と政治・外交」浅羽祐樹・朴鍾厚編『韓国語セカイを/で生きる仮題)』朝日出版社、2024年6月刊行;浅羽祐樹「どうして韓国を知っておくべきなのか?」浅羽祐樹編『これだけは知っておきたい韓国のこと(仮題)』法律文化社、2024年9月刊行予定;浅羽祐樹「インド太平洋時代における日韓関係へ」金泰旭・西田竜也編『インド太平洋時代における日韓関係(仮題)』博永社、2024年9月刊行予定)を入稿した。いずれも、2024年(度)に刊行され、広く社会に還元される。特に、1本目は、歴史問題に関して日本政府が表明した「お詫び」が韓国でどのように受容されたのかについて分析したものである。 第2に、市民向けの講演、日本の政府関係者向けのコラム、調査対象国である韓国の政府機関主催のシンポジウム報告と、ターゲットに応じたアウトリーチを行った。 第3に、2024年度に韓国・ソウルの統一研究院で在外研究を行う機会を活用して、単行本としてまとめるべく、目次や版元の検討を行った。
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