研究課題/領域番号 |
19K01505
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
古澤 嘉朗 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (20612922)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 平和構築 / 国家建設 / 紛争解決 / 紛争管理 |
研究実績の概要 |
2019年度から開始した本研究課題は2019-2022年度はパンデミック、2022年度後半以降はウクライナ侵攻による物価高騰の影響と個人ではどうすることもできない状況下、発想を変えてどのような形で・何ができるのかについて、慎重に柔軟に検討しながら研究を進めてきた。2023年度は関連する研究の動向を把握することに努めつつ、2022年度に定めた(1)本研究課題の背景に関する編著本、(2)2022年3月に行った国際シンポジウムを基にした編著本、そして(3)本研究に関する単著本の計3冊の準備に取り組んだ。 紛争後社会・移行期社会における国家やその国家建設支援について考察する際に、本研究では国際社会が提供する平和構築・開発援助支援は平和構築の力学における一要素であると位置付け、多様な国内外の力学が作用していることを明らかにしようとしている。この研究課題について理解を深めるにあたり、「国家建設」と「平和構築」を巡る近年の議論、そして平和構築という言葉が使われるようになった1990年代前半以前から平和紛争研究内で続いている「紛争解決」と「紛争管理」の議論に対する理解を欠かすことができない。他方、「紛争解決」と「紛争管理」の議論については邦語文献での言及が少ない。 このような現状を踏まえ、(1)本研究課題の背景に関する編著本に取り組むと同時に、(2)『平和研究』に論文を執筆した。編著本は『国際紛争解決論』として溪水社から公刊した。研究課題の背景を描く際に多岐にわたるテーマについて言及する必要があったので、オタゴ大学(ニュージーランド)の教員、国連職員の方など国内外の研究者や実務家の方々にも原稿を寄稿していただいた(2023年度時点の所属)。論文は「平和構築と平和学:紛争解決論という視座からみる平和構築」として2023年に出版された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2018年時点で思い描いていた海外調査はパンデミック、2022年度後半以降はウクライナ侵攻による物価高騰の影響を受けて困難な状況であることには変わりない。だが、発想を変えてどのような形で・何ができるのかについて慎重に柔軟に検討しながら研究を進めることとし、軌道修正をしたので理論研究と事例考察の割合に変化はあるものの、研究自体は順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の背景に関する編著本の取りまとめは2022年度に終了したので、次年度は引き続き関連する研究の動向を把握することに努めつつ、(1)2022年3月に行った国際シンポジウムを基にした編著本、そして(2)本研究に関する単著本の計2冊の準備を進めていくことになる。
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次年度使用額が生じた理由 |
パンデミックの影響で、2019-2022年度に当初予定していたフィールドワークを計画通りに行うことができなかった。引き続き、できること・できないことを精査しながら、着実に研究は進めていきたい。
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