研究課題/領域番号 |
19K01507
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 教授 (50580776)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 冷戦史 / ドイツ外交 / 外交史 / 国際関係論 / 国際政治 |
研究実績の概要 |
4年目に入る本年度は、交付申請書の計画に沿って、シュミット政権期の独米関係をめぐる西ドイツ国内政治に関して、関連資料や文献の収集・調査に取り組んだ。アメリカのカーター政権が掲げる人権外交に対するシュミット政権の対応に関して、西ドイツ国内政治を踏まえつつ、1977年にベオグラードで開催されたCSCE(欧州安全保障協力会議)の再検討会議における両国間の認識に違いを明らかにする論文を発表した。シュミット政権は、カーターの人権外交が東側を刺激し東西関係の悪化を招くことや、西側諸国間の結束を乱すことに対して懸念を抱き、ヨーロッパにおける東西間のデタントを維持しようとした。そのため西ドイツは、アメリカとソ連の間を取り持つべく仲介的な役割を果たそうとすると同時に、NATO(北大西洋条約機構)やEC(欧州共同体)など西側陣営内で一体性を保持すべく意見調整を図ったのである。本論文では、このベオグラード再検討会議をめぐる独米関係を分析する上で、とりわけ西ドイツの分断国家という性格ゆえに、「ベルリンの壁」を象徴とするような東西分断に伴う、たとえば離散家族などの人道問題といった西ドイツの国内事情を考慮する重要性を指摘した。また別の論考では、西ドイツ国内の保守政党による批判にも触れつつ、シュミット政権期を含む西ドイツの東方政策に関して歴史的に考察した。さらに同時期に独米関係と並行したソ連との関係の深化について西ドイツの国内政治との関連を踏まえた研究報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
4年目の最終年度を迎えた本年度は、シュミット政権期の独米関係をめぐる西ドイツの国内政治に関して、昨年度までと同様に史料や文献の収集・調査に取り組み研究発表を行う一方で、新型コロナウィルスの影響を考慮して予定していた海外調査について2022年12月まで見合さざるをえなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに新型コロナウィルスの影響で見合わせざるをえなかった海外調査に可能な限り取り組んでいくことで、シュミット政権期の独米関係や多国間関係、そして西ドイツ国内政治に関するドイツでの調査を進め、研究成果のとりまとめにも取り掛かる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年12月までに予定していたドイツでの調査については、新型コロナウィルスの影響を考慮して見合わせざるをえなかったが、状況が許せばそれまで見送ってきた海外への調査に取り組むことを検討する。
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