研究課題/領域番号 |
19K01507
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 教授 (50580776)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 冷戦史 / ドイツ外交 / 外交史 / 国際関係論 / 国際政治 |
研究実績の概要 |
本年度はシュミット政権期の独米関係に関して、申請書に記載した独米の二国間関係のレベル、多国間関係のレベル、そして同時期の西ドイツ国内政治の関連資料や文献の収集・調査を続けるとともに、以下の研究成果を発表した。まず、シュミット政権期の独米関係を含む外交政策と国内政治に関して包括的にまとめた論考を発表した。そこでは、「継続と集中」をスローガンに掲げ、外交政策においては「現実的緊張緩和政策」を推進したことに言及した。シュミット政権下では、ドイツやヨーロッパの分断克服に向けた長期的なビジョンが影を潜め、東西間の勢力均衡をより重視する観点から、前政権のブラント首相の下で取り組まれた東方政策の成果を継続し発展させていくことが目指された。政府内でも、シュミット首相とゲンシャー外相の両者とも具体的な成果を積み重ねるために東側政府に「静かな外交」でのぞむべきであるという点で一致しており、引き続きソ連との関係や東ドイツをはじめとした東欧諸国との人的交流を重視し、緊張緩和の果実を具体化していくことに注力した。このようにシュミット政権は引き続き東西緊張緩和に取り組む一方で、アメリカのフォード大統領やフランスのジスカールデスタン大統領と概ね緊密な関係を築いた。シュミット政権の外交政策は、70年代半ばの国際政治経済の激しい変動の中で「危機管理」に彩られることになったが、前政権期に比べて西側重視へとシフトしたことを指摘した。次に、シュミット政権期の独米関係を分析する上で不可欠なブラント政権期の独米関係を含む外交政策と国内政治に関して包括的にまとめた論考を発表した。さらには、シュミット政権期を含む多極化の時代における欧州統合と東方政策に関して、独米関係にも目配りした論考を発表した。そしてシュミット政権期を含む西ドイツの東方政策について、並行する独米関係にも触れつつまとめた論考を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
シュミット政権期の独米関係に関する史料や文献の収集・調査を引き続き行うとともに、研究成果のとりまとめや成果の発表に取り組んでいるが、新型コロナウィルスによって海外調査を見合わせてきたこと等が作業に影響を与えた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルスの影響を受けていた史料収集などの調査を進め研究成果を取りまとめる作業に取り組んでいく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響等を考慮してこれまで見合わせざるをえなかった海外調査について、状況が許せば取り組むことを検討する。
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