研究課題/領域番号 |
19K01513
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研究機関 | 京都外国語大学 |
研究代表者 |
佐々木 豊 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (00278748)
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研究分担者 |
中嶋 啓雄 大阪大学, 国際公共政策研究科, 教授 (30294169)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 米国社会科学研究評議会(SSRC) / 比較政治学研究 / 国家安全保障政策研究 / 政治的近代化論 / 政治発展モデル / 経済成長 |
研究実績の概要 |
本研究の課題は、第二次世界大戦後に米国社会科学研究評議会(SSRC)内に創設された社会科学各ディシプリンの研究促進を目的とする専門委員会の活動によって構築された社会科学上の学知の学際的性格を、ロックフェラー・アーカイブ・センター(RAC) に所蔵されているSSRC文書に含まれている一次資料の分析を通じて明らかにすることにある。 2021年度の研究業績は以下の通りである。新型コロナウイルス感染症の蔓延により、年度内に資料収集のための海外出張を実施出来なかったが、それを補うために、これまで収集した関連一次資料を研究代表者と研究分担者の間で共有すると同時に、Zoomやメールを通じて一次資料の分析の進捗状況や研究内容について情報交換を行った。その成果として、本研究の具体的な研究対象であるSSRC内に設置された各専門委員会(「政治行動委員会」、「比較政治委員会」、「国家安全保障政策研究委員会」、「経済成長委員会」)の活動内容、また各ディシプリンに及ぼした影響を総括した論考を共著研究ノートとして研究代表者の本務校の紀要に発表することが出来た。また研究代表者は、特に「比較政治委員会」の1965年以降の「政治発展」モデル構築に向けた学術研究活動を評価する作業に従事し、その成果を研究会で発表する機会を得た。この報告テーマに関しては、論稿として2022年度中に刊行予定の論文集に掲載されることが決定しており、原稿の執筆を進めている。研究分担者も、特に「国家安全保障政策研究委員会」の活動に関して一次資料に基づく分析を進めると同時に、学会など多方面における研究発表の機会を得て、社会科学的学知の伝播・普及を含む国際的な知的交流の意義を国際秩序の中に位置づける報告を積極的に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
戦後の米国における複数のディシプリンにおける社会科学的学知の生産体制を包括的に分析することを課題におく本研究の遂行に当たっては、米国社会科学研究評議会(SSRC)によって設立された各専門委員会に関する一次資料(定期的会合の議事録、 年次報告書、 メモランダム、学術研究会議の討議録、ペーパー等)の収集が不可欠である。補助期間である3年間中、特に1~2年目は、海外調査による資料収集と整理を主な作業とする予定であった。 “やや遅れている”理由としては、研究代表者、研究分担者ともに、2021年度中にロックフェラー・アーカイブ・センター(RAC)における各専門委員会関係の一次資料収集を計画していたものの、新型コロナウイルス感染症の蔓延により同センターが海外からの研究者の訪問を中止したため、現地資料調査を断念せざるを得なかったことが挙げられる。このような事情により、各専門委員会の一次資料およびその研究活動に対して助成金を付与していたフォード財団に関わる資料収集の点で、後れを生じている。 従って、資料閲覧・収集の遅れを補うためにも、これまで収集した資料を研究代表者と研究分担者の間で出来るだけ共有して有効活用する作業を継続して行い、当初の研究課題の達成に向けたより緊密な共同研究体制を継続することが必要であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染症の蔓延により、海外出張による資料収集が予定通り実施できなかったこともあり、本研究の補助事業期間の一年間の延長が認められた。また、ロックフェラー・アーカイブ・センターも、海外からの研究者の漸次的受け入れも再開した。従って、次年度の夏季休暇中に同センターへのリサーチ・トリップを実施し、本研究の目的を貫徹するための関連一次資料(特に、現時点で未収集のSSRC各専門委員会の1960年代後半以降の活動に関する一次資料、またこれらの委員会に対するフォード財産の助成方針・実績に関わる資料)の閲覧・収集を行う予定である。その際、研究代表者と研究分担者の間で、収集した一次資料の共有を図り、体系的に分析を進めて行くことにしたい。その結果を踏まえて、2022年度中に、対面での研究会合を持ち、先に発表した研究ノートの課題となっていた各委員会の活動の成果と遺産を最終的に総括する論考の執筆を構想して実現させる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定では、夏季休暇中に研究課題に関する米国のアーカイブ(ロックフェラー・アーカイブ・センター)における一次資料閲覧・収集を実施する予定であったが、新型コロナウィルス感染症が世界的に拡大したため、海外資料調査を見送らざるを得なかった。そのため、海外調査のために計上していた航空運賃及び現地での滞在費を消化することが出来なかった。さらに、国内における所属学会・研究会の活動もオンライン開催に変更されたことにより、開催場所に出張するための旅費の支出の必要もなくなった。以上のような事情が関係して、計画していた旅費・滞在費を使用しなかったため、予算を大きく繰り越すことになった。 既述のように、補助事業期間の延長が認められたので、2022年度は過去2年間実施出来なかったロックフェラー・アーカイブ・センターでの史資料収集を夏季休暇中に行う予定にしている。
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