研究課題/領域番号 |
19K01516
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
クロス 京子 京都産業大学, 国際関係学部, 教授 (40734645)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 移行期正義 / フィリピン / 補償・賠償 / アジア |
研究実績の概要 |
2022年度は新型コロナウィルス感染拡大による渡航制限が緩和されたため、9月にフィリピンで現地調査を行った。訪問先は、SANDUGO、UMA Pilipineといった、先住民や労働者の権利保護を訴えている団体や、環境NGOのKalikasan、そして人権NGOのKarapanである。とりわけ、Karapatanの事務局長へのインタビューでは、フレディナンド・マルコス政権の戒厳令下の人権侵害被害者らの賠償請求運動の背景を聞き取ることができた。また、ミンダナオで進むモロを含む先住民族の先祖伝来の土地の開発が進み、土地や資源の収奪をめぐる歴史的不正義への対応が、真実委員会の勧告通りに進んでいないことがわかった。現在、現地調査と文献調査に基づき、論文を執筆中である。 今年度は公刊した論文はないが、本研究をもとに2度の研究報告を行った。一つ目は、立命館大学土曜講座で「フィリピン麻薬戦争に隠れた人権侵害-なぜ『左派』は超法規的に暗殺されるのか」と題する報告である。また、立教大学で行われた「「ジェノサイド後の分断社会における和解と共生の可能性と不可能性ースレブレニツァを事例に、『犠牲者意識ナショナリズム』の視点から」公開シンポジウムにおいて、『誰が正当な『被害者』かー補償をめぐる分断と政治化ー』と題する報告を行った。報告では、紛争後の「記憶」が政治的に解釈されることで、「正当な」犠牲者とそうでない犠牲者という線引きがなされ、一部の脆弱な被害者の周辺化が一層進むという問題を指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルスの感染拡大による渡航制限などは徐々に解除されてきたが、現地調査の対象である途上国にはまだ渡航がしづらい状態であった。国内での専門家からの聞き取りを実施したり、オンラインで現地関係者とコミュニケ―ションを取ったが、論文執筆をする上で十分な情報を得ることが難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は本研究の現地調査の対象地域であるスリランカとアチェの現地調査を行う。スリランカについては、現地NGOとコンタクトを取っている。燃料不足や急速に進んだインフレで現地の治安が安定していないため、情勢を確認しながら渡航計画を進める。アチェについては、夏渡航を目指し、現地コーディネーターと調整を進めている。 また、これまでの研究成果をまとめ論文として公刊する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により、前年度予定していた現地調査費用を今年度消化できず経費を執行できなかった。次年度は海外渡航が通常化することが期待できるため、現地調査を予定していた地域(具体的にはスリランカとアチェ)に赴く計画である。
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