研究課題/領域番号 |
19K01517
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
柴山 太 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (50308772)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 英米軍事同盟 / 英米核協力 / ブラケット |
研究実績の概要 |
2019年度においては、研究課題の基礎となる研究を進めた。とりわけ英国のナショナル・アーカイブから、同年度経費を使用して、英国内閣の核開発関係文書(CAB-130/2およびCAB-130/3その他)を取り寄せ、かなりの時間をかけて分析し、英国政府が自らの核開発が持つ国際的影響をどのように理解していたのか、また英米間での協力内容はどのようなものであったのかが垣間見えた。またこの時期、英国政府内で、核問題エキスパートとして活躍していた、ブラケット教授に関する書物を複数購入し、それらを読みながら、かつ上記文書のなかにある、彼が内閣に提出した諸文書とともに、研究できたことは、英国政府内での核開発論議を理解するうえで、大変役立った。この英国政府による核研究と、1947年以降に、英軍内部で研究されたジェット戦略爆撃機開発が、どのように英国の国防政策および戦略に影響を与えていたかが理解できたことは、1947年という時点での英米軍事同盟のあり方について理解するうえで、大きな踏み台を得たと言い得る。これらについては、すでに論文原稿になるほどの下書きという形で、すでに入力したが、まだ1947年段階に関するものばかりであり、それ以後の展開についてはこれからの課題であり、研究進捗が求められる。ただし英米軍事同盟の運営を考えるうえで、英国国内での核開発状況や両国間の核開発協力問題に関する理解は避けて通ることは許されず、その観点からも、第1年目としては、大きな成果に手がかかったと喜んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
英米核協力の実態について、とりわけ英国側の文書がかなり手に入ったことで、探るべき内容が頭の中で明白になったことは、大きな成果と言い得る。また論文下書きの形で書き進めることができたことは、かなり自信になった。とはいえ、獲得した文書のあとに続く文書群はどのような状況になっているのかが明白ではなく、それらを発見・獲得することが次の課題となっている。正直、それは頭痛の種であると認めざるを得ない。また米国側の対応についても、すでに出版されている Foreign Relations of the United Statesのシリーズを集め、かつゆっくりと読んでいるが、まだまだ手ごたえがあったというほどの進捗には至っていない。これからの努力を積み上げるなかで、突破口を見つけたい。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ・ウィルス問題により、本研究課題は、大きな問題を抱えていると言わねばならない。そもそも本研究の第2年目には、米国、英国そしてフランスでの史料調査を予定していたが。現状では、どの国においても、現地での調査はおろか、入国すら困難な状況になっている。せっかくまずまずの研究スタートとなったにもかかわらず、この状況では、各国での史料調査は、第3年度あるいは第4年度に延期せざるを得ない。ただこの第2年目をできるだけ有意に使うため、第2年度経費をうまく使って、基礎研究部分をより充実させることを考えている。具体的には、第1年度に英国ナショナル・アーカイブから研究史料を買い込んだため、購入できなかったコンピューターを購入し、それを駆使して、オンラインで利用できる史料をできるだけ集めたいと考えている。実際には、研究者が訪問することを認めていない文書館でも、オンラインで掲示しているものまで閉じているわけではない。また関連の史料集の収集にも努め、難しい状況下でも、少しでも研究が前進するように頑張りたいと念じている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コンピューター購入を第2年度に先送りしたこと、さらには、第1年度に購入した史料がかなりの量であり、それらの分析およびそれらに関する原稿書きにかなりの時間を費やしたため、当初の予定どおりの使用額に届かなかった。 2020年度については、コンピューターを購入したのち、積極的なオンライン上の史料獲得、さらには必要文献獲得に力を入れたい。ただしコロナ・ウィルス問題に関連して、積極的な史料獲得用のリサーチ旅行は、容易にできそうもないが。ただできる範囲で、積極的に史料獲得を進めたい。
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