研究課題/領域番号 |
19K01517
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
柴山 太 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (50308772)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 西側陣営の同盟ネットワーク |
研究実績の概要 |
コロナウィルスの影響がなければ、米国での調査に出発していたはずでありましたが、ウィルス蔓延とそれにともない米国史料館および大学が研究者を受け入れていないので、やむなく関西学院大学に、研究調査の期間を遅らせてもらいました。しかし、それにもかかわらず、いまだ米国側の受け入れは進まず、現在は2021年9月から2022年3月までの6ヵ月間の受け入れを要請し、そのための手続きを始めているところです。したがって、新規の史料調査は行うことができていません。 ただし動けない時間をうまく利用して、科研費を利用して購入した諸史料集や研究書を使いながら、研究論文作成のための準備とも言うべき草稿(研究ノート級)を書き進めています。そのなかで得られた知見を挙げれば、以下のような研究的視点が得られています。これまでは、米ソ史観の影響から、ついついトルーマン・ドクトリンからマーシャル・プランへの英米の動きが、反マーシャル・プラン闘争を引き起こしたという単純な英米対ソ連の対決エスカレーションの構図を考えており、これがのちの西側陣営の同盟ネットワーク構築につながったと考えていました。が、しかし、ロシア語史料集、フランス語外交文書集、さらにはW・ウィルソン研究所のデジタル・アーカイブ史料などを突き合わせると、意外な構図が出てきました。すなわち1947年初めには、ドイツ戦後処理直後に、英米ソ仏占領部隊は撤退し、欧州各国が将来のドイツの脅威を関係各国の同盟ネットワークを構築することで抑え込もうとしていました。その経緯のなかで、イギリスが西欧に新しい勢力圏を作るべく、英仏間の同盟条約(1947年3月のダンケルク条約)を、対ソ連用に利用し始めていることが分かってきました。しかもフランスもこの新しい種類の同盟条約、つまり対独用だけではないと察していた模様です。研究は進展しています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルス蔓延に伴い史料調査に行くことができず、苦しんでいます。ただし動けないことを逆手にとって、利用可能な史料を必死になって、草稿に近いものを書いているので、遅れは圧倒的なものではありません。その意味では、最小限の研究環境は確保され、それにともない研究結果も残せる見通しが立っています。とはいえ、やはり最終的な調査で、実証的な証拠をこまめに組み込んでいかなければ、説得力のある内容とはならないので、以上のような区分といたしました。
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今後の研究の推進方策 |
なんとしても、できれば2021年9月からはペンシルバニア大学に短期研究者資格を得て、ワシントンDC周辺に居住し、米国ナショナル・アーカイブIIを中心に、米国連邦議会図書館などでも積極的な史料調査を行いたいと思います。ただし米国での史料調査が遅れているため、それに伴い、英国とフランス、さらには豪州・NZでの史料調査は、さらに先延ばしの方向を選ばざるを得ないと考えています。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルス蔓延のため、予定していた米国での史料調査を行うことができず。今年度に使用したかった金額を消化することができなかったため。 2021年度には、最低限として、米国での史料調査を行う予定であり、9月からの米国留学を実行すべく、現在、準備を進めている最中である。とはいえコロナウィルスのワクチン接種が前提となるが。
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