研究課題/領域番号 |
19K01521
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
古城 佳子 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (30205398)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 国際制度 / 多国間主義 / グローバル・ガバナンス / 国際経済組織 |
研究実績の概要 |
本研究は、一旦構築された多国間国際制度において、加盟国間のその後の力関係(勢力分布)の変化が既存の国際制度にどのような制度的な変化を与えるのか、そのメカニズムを明らかにすることを目的としている。具体的には、第二次世界大戦後に構築され現在まで存続しているGATT/WTO、IMF、世界銀行を事例として取り上げ、現状変革国と現状維持国との間における代表性の確保と多国間国際制度維持の責任分担に関する調整に焦点を当てる。本研究は、勢力分布の変化が多国間主義の「共通の利益」認識と国際組織を代理人とする認識に影響を与えるのかという問いを追究するものであり、先行研究では明らかにされなかったがグローバル・ガバナンスを考える上での重要な論点である。 2020年度は、2019年度に引き続き、多国間主義論(theory of multilateralism)と本人-代理人論(principal-agent theory)の精査を行うとともに分析対象の3つの国際組織について構築時における代表性と拠出金との関係についての考え方および変革要求の実態についての検討を行った。各国際組織のアーカイブでの実地調査が新型コロナの感染拡大による渡航制限により不可能となったため、二次資料を含む文献による質的調査を行ない、IMF、世界銀行における加重表決制とGATTにおける拠出金制の設立経緯を明らかにした。これらの調査に基づき、現状維持国であり続けてきたアメリカにおける多国間主義と責任分担についての考察、多国間主義と現在の国際秩序との関連での考察を、それぞれ刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実施計画で述べた計画の内、加盟国間の分担金および加盟国間の勢力分布についてのデータは概ね収集した。しかし、新型コロナの感染拡大により海外出張ができなかったため、3つの国際経済組織のアーカイブにおいて創設時の代表性と拠出金の割合についての認識、変革要求の詳細について内部資料による確認を行うことができなかったため、今年度の研究は当初の予定より遅れざるを得なかった。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度に当たるため、本年度からの課題についてのデータ収集をさらに続けるとともに、本年度は実施できなかった海外出張により不足しているデータ収集を行う。これらの資料に基づく分析を行い、研究を発表する準備を進める。ただし、新型コロナの感染の影響が次年度も続く場合には海外出張ができないため、当初予定していた質的な調査を完了することが困難になる。その場合は、研究の1年延期を申請することも考えなければならない。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの感染拡大により海外での実地調査および国内での学会参加等が制約され旅費を使用することができなかったことと緊急事態宣言により研究補助者の使用を見合わせたため謝金を使用することができなかった。次年度は、海外出張ができれば旅費の使用が見込まれるが、できない場合には、データの収集に助成金を使用する予定である。
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