研究課題/領域番号 |
19K01522
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
浜 由樹子 静岡県立大学, 国際関係学部, 准教授 (10398729)
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研究分担者 |
羽根 次郎 明治大学, 政治経済学部, 専任准教授 (30726261)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ネオ・ユーラシア主義 / ファシズム / 大衆路線 / コロナ / 科学 |
研究実績の概要 |
2020年度は、新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、参加・発表予定であった国際学会が延期となり、研究の中間発表の場がなくなった。また、予定していた国内外への調査出張も中止を余儀なくされた。そのため、研究代表者・分担者がそれぞれに、現段階での成果の出版、収集済みの二次資料を再度読み込み、整理する作業を進めた。 ロシアの事例については、現在のロシア外交とイデオロギーとの関連理解を深め、書評(刊行待ち)に反映させた。また、ネオ・ユーラシア主義との関連性の深い「ロシア・ファシズム」の動向、ロシアの地域的文脈における「ファシズム」概念の使われ方の再検討に研究を展開させている。これは、本研究計画における軸である、地域的文脈を背景とする思想史とポスト冷戦期の国際関係のクロス・ポイントで生じているもう一つの現象であり、その重層性を示す。社会還元として、一般財団法人や大学の公開講座で、ネオ・ユーラシア主義とロシアの政治思想についての講演を行った。 中国の事例に関して、研究分担者の羽根は単著(『物的中国論』青土社)を上梓した。民主化や少数民族問題のみが「中国問題」なのではないとする姿勢は、「「科学」的「占い」に抗う大衆動員の予防について」(『現代思想』2020年5月号、青土社)での中国のコロナ対応に関する議論にも現れた。大衆路線への関心は香港理工大学での国際シンポジウムに向けた研究の中で育まれたものであったが、これは延期された。また、研究成果を社会に還元すべく、「世界への視座」(『図書新聞』3477号、2020年12月)や「日本のメディアが絶対に報じない、中国・三峡ダムの真実」(『現代ビジネス』2020年11月18日)などジャーナリズムにも寄稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、参加・発表予定であった国際学会が延期となり、国内外での資料収集・調査出張が中止となる等、計画は大幅に遅れている。また、当初計画していた国内学会でのパネル企画も、報告者の来日中止、オンライン開催での参加拒否などの事情が重なり、中断を余儀なくされた。 また、ブラジルに長期滞在中の研究協力者は、予定していた現地調査・インタビューができない状態が続いており、本研究計画への協力を得ることができずにいる。
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた一次資料へのアクセスが現状では困難であるため、二次資料の補強を進めることとする。 また、学会の相次ぐ中止・延期によりフィードバックを受ける機会が減少したことから、中間報告とならざるを得ないが、発表媒体を広げてディスカッション・ペーパー、ワーキング・ペーパーとして成果の一部を発表することで対応する。 研究代表者と分担者は、感染拡大状況に応じて、オンライン会議で情報共有と議論を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナ・ウィルス感染症の世界的拡大を受け、国内外での資料調査や学会を目的とする出張が不可能となったため、出張旅費のほとんどを使用することができなかった。出張の可否については、ワクチンの普及状況や地域の状況を考慮しながら判断することになるが、中国のデータベースからのダウンロード購入、ロシアの文書館への複写依頼など、通常は経済的ではないために回避する別の手段を検討する。また、二次資料の拡充を図る。
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備考 |
浜由樹子「ネオ・ユーラシア主義とロシアの現代政治思想」(招待講演)一般社団法人オープンガバナンスラボ、2020年10月20日(オンライン開催) 羽根次郎「世界への視座」(『図書新聞』3477号、2020年12月、4)
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