研究課題/領域番号 |
19K01525
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
栗栖 薫子 神戸大学, 法学研究科, 教授 (00294968)
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研究分担者 |
エルカン キビリチム 神戸大学, 国際連携推進機構, 特命講師 (60825868)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 規範 / グローバル・ガヴァナンス / 国連 / テキスト分析 |
研究実績の概要 |
国連加盟国のうち主要国の首脳レベルの発言について、テキスト分析を行った。本プロジェクトによる研究論文を、Yuan Zhouとの共著として執筆した。"Convergence and Competition in Global Governance: Discourse Analysis of the Major Powers' Value Perceptions in the United Nations General Assembly Debates”を、以下の国際大会で報告している。the CEEISA-ISA 2019 Joint International Conference, Belgrade, June 17.また共著者Zhouは、修正版を EPSA annual conference in Belfast, June 2019でも報告した。さらに改訂した版を、International Studies Association Annual Convention Honolulu, Hawaiiで採択され2020年3月に報告予定であったが、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大により大会がキャンセルとなった。 国連の主要な規範となる安全保障、開発、人権に関連する発言を UN General Debate corpusをデータとして用いて分類し、これらに対する主要国の態度を感情分析を用いて解明した。例えば、アメリカの首脳は国連において人権や民主主義と比べて、開発規範への関心が薄いこと、イギリス、フランス、ドイツは他方で国連において相対的には人権や民主主義についての言及が多くはないことなどが分かった。 しかし、このような定量的な分析結果については、定性的な解釈による分析によって補完することが要するものであることもさらに分かってきた。また定量的なテキスト分析がもっとも適している研究対象と、そうとは限らず定性的な分析との混合手法が不可欠である対象とがあることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、国連総会における主要国のリーダーの発言の定量的なテキスト分析、定性的な言説分析、ならびにインタビューによる補完的な分析からなる、混合手法による研究である。このうち、首脳レベルの発言のテキスト分析については基本的な部分についてデータ収集と分析を行い、複数の国際学会での報告を行った。またその際には、定性的な言説分析もある程度反映させることができた。そのためおおむね順調に進展しているという評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、国際会議でのフィードバックを研究内容に反映させながら定量的なテキスト分析を改良し、そのうえで定性的な言説分析を行う。インタビューについては、新型コロナウイルス感染拡大による各国の出入国制限や国内での外出規制により困難が生じている。情報の管理の問題も出てくるが、オンラインでのインタビューなどが可能なのかも含めて、検討を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
3月末にニューヨークで開催予定で、国連での専門家会合が新たに計画され、国連開発計画・国連事務局のスタッフや共同研究者とともに人間開発指数(HDI)への尊厳指標の導入の検討のため参加する予定であった。しかしCOVID-19の感染が拡大し、米国への入国が制限され、後に会合事態がキャンセルとなった。そのため海外旅費の使用がなくなり、次年度繰り越しとなった。本年度も同様の海外調査が難しいが、かわりにオンラインでの海外研究者や専門家とのやりとりや研究報告が増加したためPCを購入予定である。
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