研究課題/領域番号 |
19K01539
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研究機関 | 立命館アジア太平洋大学 |
研究代表者 |
佐藤 洋一郎 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (90569782)
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研究分担者 |
渡辺 敦子 法政大学, 人間環境学部, 准教授 (10821837)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 民主化 / 地政学 / 東南アジア / 日本 / アメリカ合衆国 / 中国 |
研究実績の概要 |
2019年度中にタイ、カンボジア、ミャンマーで数名との面会聞き取り調査を行うことができた。予定していた国際研究学会への出席は、コロナウイルスパンデミックのため学会そのものが中止となりかなわなかった。カンボジアでの研究協力者とは、その後のやりとりを通じてウェッブ雑誌への共著記事の投稿につながった。さらに、民主化、地政学の二つの軸に新たに医療支援外交やパンデミックナラティブをめぐる外交戦といった新たな研究軸が出現したことを確認し、今後の研究の幅に拡がりを得た。同様にミャンマーでの協力者とも編集書籍の出版計画を共有し、寄稿者としての参加の同意を得た。 民主化及び地政学理論の研究書の読み込みは順調に進んでいる。2020年10月頃までには、いったんこれらの先行研究において提示されている諸理論の間の相互関係を整理し、本研究のフレームワークとなる枠組みを、レビュー論文のような形で投稿することを考えている。 同時に、米国保護主義が人権外交の衣をまとった形で東南アジア諸国への経済制裁圧力を増し、民主化促進政策へ影響を与えたり、コロナウイルス対策の名目でこれらの国の国内政治において野党勢力への弾圧が強まったりと、日々の状況の変化が激しくなっている。これらのニュースをつぶさに拾って収集していくことにも、研究時間の多くを要している。当初の計画ではいったん学会発表論文等にまとめて、他の研究者の批判にさらしてみる予定であったが、学会開催が2020年度も既にいくつも延期や中止となる中で、いったん理論部分の執筆へ時間配分の比重を移し、いつ再開できるか分からない最終の現地調査の終了を待たずに、ここまでの成果を投稿する準備をしながら、さらなる聞き取り調査実施の機会をうかがいたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウイルス禍で3月の研究出張が出来なかったため、やや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現地聞き取り調査の再開を待ちつつ、理論部分の執筆、研究ノート・書評論文的なものの投稿準備を進めていく。 聞き取り調査が可能になった時点ですぐ出張に出られるように、調査対象国のニュースを頻繁にチェックし、協力者との意見交換をオンライン等で定期的に行い、質問事項を常にアップデートしておく。 学会発表の数が減ることが既にほぼ確実となり、研究成果の発表手段について計画の見直しを行う。調査先の国で協力者をより広く募り、ワークショップ等の形でこれまでの成果を共有し、批評を頂く場とすることも検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際研究学会年次総会に参加予定であったが、パンデミックのため中止となってしまった。2020年度に計画に入っていなかった新たな学会参加を組みなおすことは困難である。したがって、予算の一部を最終成果物の出版や広範な共有のために使うよう、見直しをしたい。また、現地調査再開を待ちながらの執筆で、資料収集・整理のペースが速まることから、アルバイトの人件費に充てることも考えている。
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