研究課題
今年度は、保育所のマッチング問題を含む学校選択マッチング問題において、公平性を確保するために用いられている学校(保育所)の優先ルールをある程度緩めることで、マッチングの効率性を高める方法について議論した。特に、従来のメカニズムにおけるマッチングよりも緩和後のマッチングの方が、学生(保育所の利用者)にとって良い結果となるようなメカニズムについて検討した。また、特定のグループ(例えば貧困世帯やひとり親世帯など)において政策的に割り当てを改善したい場合には、そのグループにとってグループ内効率的な割り当てとなるようなメカニズムについても議論した。また、努力や能力を正当に評価するため、特定の学生の学力向上などがあった場合において、その学生を確実により良い(または同等の)割当とすることは、その学生から正しい努力を引き出すうえで重要であると考える。また、それらを正当に評価することは、倫理的にも重要なことと考える。技術的には、通常、学校(保育所)の優先ルールは完備かつ推移的な二項関係として表されるが、それを緩めるためには、優先順序が弱順序や半順序、あるいは推移的でないようなものを含むように一般化する必要がある。既存研究の多くでは、緩和は弱順序を満たす場合を扱うにとどまっている。本研究では、優先ルールが半順序(つまり必ずしも完備的ではないが推移的な二項関係)で表される場合について多くの知見が得られた。また、推移的でない場合についてもいくつかの理論的な結論が導かれた。最後に、優先ルールを表す二項関係を全順序、弱順序、半順序、非循環性に(後にでてくるほど広い概念)分類し、それぞれのケースで既存研究の結論のうち、どれが成り立ち、どれが成り立たないのか明らかにしました。また、なぜそのような結論となったのか議論した。
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Journal of Mathematical Economics
巻: 105 ページ: 102818~102818
10.1016/j.jmateco.2023.102818
Journal of Economic Theory
巻: 203 ページ: 105470~105470
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