事実はAであり、それが相手にも分かっているのにも関わらず、あえてBと発言する、ということが頻繁に行われる。なぜそういうことを言うのか、を説明しうる理論がいくつか考えられるが、そのなかの1つに着目し、それに基づくゲーム理論モデルを構築することができた。利得関数には自然な動機を採用しつつ、事実と違う内容の発言を行い、その意図が相手には伝わり、しかもそれを行う強い動機が存在する、という現実を説明・再現することに成功している。しかし、再現できるどうかはゲーム構造の細部に繊細に依存しており、それが現実とどう対応しているのかは今後の検討課題である。
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