研究課題/領域番号 |
19K01548
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研究機関 | 高知工科大学 |
研究代表者 |
岡野 芳隆 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 講師 (20513120)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 実験経済学 / 集団の意思決定 / 協力行動 / 虚偽行動 / 調整行動 |
研究実績の概要 |
集団の協力行動に関する研究ではすでに収集したデータを分析し始めている。集団は個人に比べて、より非協力的に行動するという予想通りの結果が得られ、その理由として「集団は個人に比べconfusionによる協力が少ない」ことと「向社会的な人と向自己的な人とが集団を形成した場合、その集団の行動は向自己的な(非協力的な)行動になる」という仮説が支持された。また「向社会的な人同士が集団を形成した場合その集団の行動は向社会的であり、向自己的な人同士が集団を形成した場合その集団の行動は向自己的である」という結果も得ている。集団の虚偽行動に関する研究では、実験を実施し、合計で196人のデータを得た。「集団は個人に比べてより部分的虚偽の傾向が強くなる」という意外な結果が得られ、その理由として「集団は個人に比べて、社会的イメージに対してより敏感である」という推定結果を得ている。本研究の内容は高知工科大学のセミナーと明治学院大学で行われた実験社会科学カンファレンスで報告した。現在論文をまとめている最中であり、2020年度には論文を国際誌に投稿予定である。集団の調整行動に関する研究では実験デザインをまとめ、被験者に教示する実験説明書やその他の資料を作成した。当初予定していた男女の争いゲームを使った実験では「集団は個人に比べてより強気な選択をするか否か」に関する行動を観察することはできるが、「どの程度強気か」までは検証することができない。そのため、男女の争いゲームをより拡張し、どの程度強気かまで検証できるゲームを考案した。この実験は2020年度には実施を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた研究実施計画通りに進展している。
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今後の研究の推進方策 |
集団の協力行動に関する研究では、さらにデータ分析を進めたい。特にパネル分析を使ったより深い分析を行っていく予定である。2020年度には論文作成に取り組みたいと考えている。集団の虚偽行動に関する研究は2020年度内に論文を完成させ、国際誌に投稿していく予定である。集団の調整行動に関する研究では、実験を実施し、データを収集していく予定である。
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