研究課題
本研究の目的は、1.Rational inattentionモデルにおける認知的妥当性の実証的検証を基に、2.情報の取捨選択行動を加味した意思決定モデルを構築し、 3.その均衡モデルにおけるインプリケーションを明らかにすることである。 昨年度は、小規模な予備実験を繰り返し、この過程において、(1)被験者ごとに個人差が大きいこと、(2)情報収集行動・認知に関するコスト関数が、Rational inattentionモデルにおいて通常仮定されるような、相互情報量に関する線形関数では不適切であること等を確認し、Rational inattentionをベースとしたモデ ルの修正に取り組んできた。 特に、昨年度は、コロナ禍により、生体情報の収集を伴う実験の実施が難しくなったことから、当初予定されていなかったオンラインで可能な行動実験を中心に行った。本年度は、当初の計画通り、生体情報を伴う実証実験のデータを蓄積するとともに、論文制作および成果発表を行った。この実験における検討課題は、(1) Rational inattentionモデルや、そこで使われる新規情報に対する反応係数が、人々の情報獲得処理行動を適切に表すか、(2)相互情報量が人々の情報獲得処理行動に対応するか、といった問題に結論を得ることである。(1)(2)については、生体情報(血中ヘモグロビン濃度変化および視線情報)の観点から、Rational inattentionモデルが、人々の認知活動と、一定の整合性を持つことが明らかになった。ただ、当初の予定では、人工市場分析によるRational inattentionの市場均衡に与える意義も明確化する予定であったが、コロナ渦による実験の遅れを取り戻すことができず、既に分析は始められたものの、この点に関しては今回の研究期間中には結論が得られなかった。
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Intelligent and Transformative Production in Pandemic Times (the book series Lecture Notes in Production Engineering)
巻: 1 ページ: Forthcoming
Journal of Finance and Accounting
巻: Volume 10, Issue 2 ページ: 141-150
10.11648/j.jfa.20221002.17