研究課題/領域番号 |
19K01553
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
橋本 和彦 大阪経済大学, 経済学部, 講師 (30649182)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 耐戦略性 / メカニズム・デザイン / 効率性 / 利他性 / 公平性 |
研究実績の概要 |
本年度は、利他性を組み込んだモデルにおけるメカニズムの分析を行った。ゲーム理論に関する多くの経済実験により、人々は利他的に行動することが報告されている。その代表的な研究がFehr & Schmidt (1999, The Quarterly Journal of Economics)である。Fehr & Schmidt (1999) では、実験と整合的な利他的効用関数が定式化されている。 本研究は、それを用いた制度設計分析の先駆けであると位置づけられる。一般的に、メカニズムに参加する個々人は、所得などの初期状態が大きく違う。そして、所得再分配や公共財の費用負担を通じて、それらの差を是正することが求められる。そして、これまでのメカニズム・デザインの視点では、それらの目標は外生的な(所与の)ものとして扱われていた。しかし、社会目標は、社会を構成する個々人の選好から形成される内生的なもののはずである。つまり、理論研究の内部に不整合性が生じていたのである。 この不整合性を解消するものとして、Fehr & Schmidt (1999) の利他的選好を導入したのである。具体的な研究成果として、3人モデルにおいて、耐戦略性に加えて、効率性と個人合理性を満たすメカニズムの設計とその特徴づけを行った。また、非対称な環境における公平性の概念として、新しい無羨望性についても考察を行った。通常の公平性は対称な状況についての概念であり、モデルに適した形に拡張する必要があった。今後はこの公平性を用いてさらに研究を進めていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新しいモデルにおける耐戦略性を満たすメカニズムの設計・分析も進み、結果を得ることができた。また、セミナー報告を通して、ポジティブな評価があり、順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
新たに考案した公平性の概念を用いて、耐戦略性を満たすメカニズムの設計・分析を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
参加予定の研究会・学会がキャンセルまたはオンライン開催になったため、参加費・出張費が不要になった。 現在執筆中・投稿準備中の論文の英文校正費用として用いる。
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