研究課題/領域番号 |
19K01554
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
中元 康裕 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (10552200)
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研究分担者 |
三野 和雄 同志社大学, 経済学部, 教授 (00116675)
胡 云芳 神戸大学, 経済学研究科, 教授 (30379466)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 不平等分析 / 経済主体の異質性 / 資源配分 / 構造変化 / 国際貿易 |
研究実績の概要 |
効用関数の異質性を考慮する主要な研究を展望し、以下の重要な点に関して既存研究では十分な分析がなされていないことを確認した。(1)非相似型の選好に着目した不平等研究はごく少数である。(2)相似型・非相似型に限定せず、一般的な効用関数を用いた多数の個人が存在する閉鎖経済のラムゼイモデルを用いた不平等分析はごく少数である。(3)経済不平等問題の多くは閉鎖経済に限定されており、国際貿易が経済不平等に与える影響、もしくは、経済不平等が国際貿易構造に果たす役割の研究はごく少数である。 本年度の研究実績は以下のとおりである。(1)については、モデル構築をし均衡の証明をした。現在は、不平等分析を実施している。(2)については、経済均衡が存在することを解析的に証明し、その上で、数値分析を行っている。(3)に関連する国際貿易の研究として、当初の予定にはなかったが既存研究を精査する中で、"The Pareto distribution, asymetric shape parameters, and equilibrium in an asymmetric Melitz model"を執筆した。本論文では、企業の生産性の異質性に着目した2国の国際貿易モデルにおいて、既存研究においては企業の生産性分布が2国で異なる場合、①外国販売のみを実施し自国販売をしないPure exportersが存在する②複数均衡が存在する③経済厚生が改善しないという、①から③の可能性を示唆したが、分布関数を特定化していないため、条件が曖昧なものであった。そこで、分布関数を特定化し、①から③の検証を行った。その結果、生産性分布が国家間で異なっていたとしても、分布関数をパレート型に限定した場合、①から③の可能性がないことを解析的に証明し、既存のメリッツモデルと同じ結論に帰着することを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画では、2019年度において、モデル構築ならびに均衡の証明などを完成させる予定であったが、この点については順調に実施ができている。又、国際貿易においては当初予定にはなかったが関連研究として、"The Pareto distribution, asymetric shape parameters, and equilibrium in an asymmetric Melitz model"を完成させた。本年度は個人で実施する研究が多かったため、共著者との研究打ち合わせの回数を次年度はもっと増やすように計画している。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度には、2019年度の研究を引き続き実施する。特に、閉鎖経済モデルにおける研究論文については、消費税政策、政府消費といった財政政策導入が不平等に与える効果を検証し、その上で、今年度中に終了させる。開放経済の研究論文については、共著者との研究打ち合わせを増やし、不平等分析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたパーソナルコンピュータへの支出を次年度以降に繰り越した。本年度に支出する予定にしている。
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