研究課題/領域番号 |
19K01555
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
白井 洸志 関西学院大学, 経済学部, 准教授 (70609685)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 意思決定理論 / 限定合理性 / 顕示選好理論 / 逐次探索モデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は逐次探索的な選択行動について、経済主体の行動原理を顕示選好理論の観点から分析することである。逐次探索的な選択行動とは選択肢がリスト状に並んでいるような場面での意思決定問題であり、予約サイトで表示されたホテルのリストを上から順番に検討しながら宿泊先を決定するような場面がそれに該当する。 2022年度においては、2021年に着想を得たランダム効用を前提とした顕示選好テストの構築をさらに発展させることができた。中でも、逐次探索モデル含む限定合理性モデルの文脈でよく知られているSatisficing modelとそのいくつかの拡張形について、ランダム効用を前提とし、かつ実証分析に耐えうる形での明快な特徴づけを得られた。Satisficing modelについてはそのモデルの単純さと拡張性から公理論的意思決定理論を中心に様々な研究成果が得られているが、本研究はそれを実証的顕示選好理論の観点から扱っている点に新規性がある。例えば、本研究による特徴づけでは、行動データは論理的に可能なリストのうちいくつかで観測されていれば良いのであって、その構造に特別な仮定は要求されない(意思決定理論の文脈では論理的に可能なリスト全ての上での行動パターンを前提にした特徴づけをするのが一般的)。例えば選択肢が20個しかない設定でも論理的に可能なリストの数は20!≒2.4×10^18個存在し、それら全てで十分なデータが観測されるとは考えづらい。この点一つとっても今回得られた特徴づけには十分な意義があると考えられる。また、探索深度の上限であったり、satisficing levelの探索深度への依存といった、実際の意思決定の場面で自然と考えられる一般化まで想定できている点も併せて強調して良いと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
プロジェクト全体の大きな目標として、逐次探索モデルに関する顕示選好理論を実証分析に耐えうる形式(および一般性)で構築することを掲げてきたが、2022年度についてもその方向性で内容の充実が進んでいるため。2022年度に得られた結果についても国際学会での発表が決まっており、そこでの議論を通じた今後の発展も見込めるため。
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今後の研究の推進方策 |
プロジェクト全体は概ね順調に推移していると判断されるので、原則として当初の研究計画に沿って進めることが適当と考える。特にこれまでに集約した研究成果について早期の公刊を目指し、学会発表と並行して、学術誌への投稿を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度においては対面での国際学会発表並びに共著者との研究打ち合わせを多く予定していたものの、報告者の体調不良につき(特に海外への)長距離の移動を控えざるを得ない状況が続いたため。2022年度の学会等は全てオンラインで対応した。2023年度については体調回復しているため、前年度まで出来なかった対面での打ち合わせや学会参加を再開する予定である。
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